広島拘置所の巨大壁画 保存を 制作者の妻が要望書 保存の会も立ち上げへ

建て替えが計画されている広島拘置所の巨大な壁画を保存してほしいと、25日、制作者の妻が、広島市に要望書を提出しました。

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広島市中区にある広島拘置所です。

外壁に描かれているのは巨大な壁画…。1989年、広島城の築城400年記念事業として、広島市出身の画家で被爆者の入野忠芳さんが市の依頼を受けて制作しました。

壁画は、広島拘置所が広島城の武家屋敷があった場所にあることから、江戸時代の町の様子を再現しています。

2009年からは妻の泰子さんも手伝って、5年がかりで色あせた壁画の修復を完成させました。

画家 入野忠芳さん(2013年4月)
「仕事すると元気が出る。ここへ来ると。来年からできないかと思ったら、ちょっとさびしい」

この半年後、入野さんはがんのため、73歳で亡くなりました。

長年、この地区のシンボルとして親しまれていたこの壁画。ところが、広島拘置所が隣接地に建て替えられる計画が浮上していて、この外壁も撤去される見通しになっています。

入野さんの妻の泰子さんは、多くの人から壁画を保存してほしいという声が寄せられたとして、広島市に保存を求める要望書を提出しました。

故・入野忠芳さんの妻 入野泰子さん
「保存の方向で検討いただきたいと思い、要望書を提出させていただく」

広島市の担当者は今後、広島拘置所と協議したいとしています。

故・入野忠芳さんの妻 入野泰子さん
「あの壁画は残すべきだという意見をたくさんいただいて。みなさんの声援を受けて、壁画は保存しなくてはいけないという気持ちで、みなさんを代表して要望書を提出した」

泰子さんは、今月末に保存に向けた会を立ち上げるということです。

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