傑作ぞろい 岡山映画祭3日開幕 郷土発など30作品上映

 郷土に根差した作品や地方では上映機会の少ない傑作を集めた「岡山映画祭2022」(同映画祭実行委主催)が3日、開幕する。27日までの期間中、岡山県天神山文化プラザ(岡山市北区天神町)、同市立オリエント美術館(同)で約30作品を上映する。

 隔年で開催し、13回目となる今回のテーマは「コロナに負けるな!映画を楽しむ!」。前回は新型コロナウイルスの流行でオンライン配信を取り入れたが、今年は感染防止対策を講じた上で通常開催する。

 出品作は、詩人で知られる福間健二監督の最新作で、亡夫のまなざしを感じながらヒロインが生きる場所を再発見する「パラダイス・ロスト」、瀬戸内海放送の満田康弘プロデューサーが日本人捕虜集団脱走事件を追ったドキュメンタリー「カウラは忘れない」など。カンヌ国際映画祭で最高賞を受けたタイのアピチャッポン・ウィーラセタクン監督らの海外作品もある。

 岡山生まれの作品を回顧する企画「岡山発映画」も見どころ。1954年公開の「月の輪古墳」は美咲町住民らを中心にした歴史的な発掘調査を記録したドキュメンタリー。赤磐市・山陽団地の歩みを映した本田孝義監督「ニュータウン物語」(2004年)、最新作が海外映画祭で高評を得ている真庭市在住の山崎樹一郎監督の「ひかりのおと」(11年)も注目の一つ。

 男性の不妊症を題材に、国際短編映画祭で入賞した安井祥二監督「からっぽのシュークリーム」や、玉野高放送部が製作した作品など、プロアマ問わないユニークな中短編映画もそろった。

 上映後には監督らによるトークも予定する。小川孝雄実行委副代表は「映画を通じて今に生きる学びを得たり、製作者と観客が交流したりする豊かな時間を提供したい。ファンに限らず、多くの人に見に来てほしい」と話す。

 1作品につき1300円(前売り千円)、大学、短大、専門学校生800円、中高生500円。同映画祭事務局(086―252―7606)。

映画「カウラは忘れない」の一場面

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