国内最大級の客室数を誇るアパホテル&リゾート横浜ベイタワー(横浜市中区)が11月1日、営業を再開する。東京五輪の需要も見据え、2019年秋に満を持して開業したものの、半年足らずで新型コロナウイルス禍に直面。国の要請を受けて施設を提供し、軽症者や入国者を受け入れていた。2度の休業期間を経て、巨塔ホテルが約1年半ぶりに宿泊客を迎え入れる。
「予約は週末を中心に入り始めた。全国旅行支援の効果が大きい」
横浜ベイタワーの平野賢総支配人(45)はそう話し、安堵(あんど)の表情を浮かべた。1棟のホテルとしては日本最多の2311室を擁するが、稼働率が50%を上回る見通しの日も出てきたという。水際対策の緩和を受け、訪日客の回復にも期待を寄せている。
みなとみらい21(MM21)地区近くに立地する横浜ベイタワーは、ビジネス客や観光客の宿泊需要を見込んで19年9月にオープンした。ラグビーワールドカップの日本開催が追い風となり、翌10月には月間の稼働率が9割に迫るなど、滑り出しは順調だった。
しかし、新型コロナの感染拡大で事業環境は一変してしまう。
アパグループは20年4月、政府の要請を受けて各施設での全面的な協力を即決。横浜ベイタワーについては、医療崩壊を防ぐために軽症患者らを受け入れる宿泊療養施設として県に貸し出した。
県医療危機対策本部室によると、借り上げ期間は同月20日から8月末までの4カ月間強。1棟借りの料金として計約9億8200万円を支払い、149人が利用した。
契約満了を受け、横浜ベイタワーは同年9月1日に営業を再開。当時は、政府の観光支援事業「Go To トラベル」による宿泊需要の押し上げがあり、運営は軌道に乗った。