「命も生活基盤も破壊」 ウクライナ出身ボーカル、惨状語る 長崎国際平和映画祭

トークセッションで、ウクライナの現状などについて語った(右から)バディンさんとアレフさん=長崎市、出島メッセ長崎

 原爆や戦争がテーマの映画、音楽を通じて平和の尊さを考える「長崎国際平和映画祭」が6日、長崎市内であり、ハウステンボス(佐世保市、HTB)で活動するウクライナ出身ボーカルユニット「マキシマム」が特別出演した。母国では今なおロシアの軍事侵攻で住民が命を落とし、インフラが破壊されていると紹介。ウクライナ民謡など平和への願いを込めた6曲を披露した。
 マキシマムは、パシュコフスキー・アレフさん(36)とベスブリャック・バディンさん(35)が2004年に結成した。14年にHTBでの仕事のため来日。ロシアの侵攻開始後も佐世保にとどまり、HTBを拠点にステージ公演を続ける。アレフさんの両親らもウクライナから本県に避難した。
 映画祭のトークセッションでアレフさんは、初めてコンサートを開いた古里の劇場が7月に爆破され「私たちにとって最悪の出来事だった」と回顧。バディンさんは「誰が勝つか負けるかではなく、この戦争では人が亡くなり、インフラも破壊されて生活の基盤がなくなっている。それを知ってほしい」と語った。
 映画祭は長崎市尾上町の出島メッセ長崎で、国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館と「ながさきMICE」が共同開催。反核のメッセージが込められた怪獣特撮映画「ゴジラ」(1954年)など映画3作品も上映した。


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