極おくて「冬桃がたり」作柄上々 総社で選果作業、12日に初競り

「冬桃がたり」の選果作業

 冬に成熟する全国でも珍しい桃「冬桃がたり」が収穫期を迎え、産地の総社市で9日、選果作業が始まった。12日には岡山県内をはじめ、東京や大阪の市場で初競りにかけられ、百貨店などに並ぶ。

 JA晴れの国岡山吉備路もも出荷組合の組合員が、コンテナに入れた桃計約4千個を選果場に次々と持ち込んだ。選果場スタッフが一つ一つ汚れや傷をチェックし、糖度センサーにかけて等級ごとに選別した。出荷は12月上旬までで、昨年実績(8.8トン)を上回る10トンを目指す。

 冬桃がたりは、同組合が2007年に導入。組合員100戸のうち、現在45戸が1.7ヘクタールで栽培する。小ぶりながら平均糖度15度と、主力の清水白桃(同13度)を上回る。花が咲くのは他品種と同じ春だが、果実がゆっくりと育つ「極おくて」のため、台風や鳥獣被害に遭うリスクが高く、市場では希少性から清水のおよそ3倍の価格で取引される。日持ちがするため歳暮などとしても人気があるという。

 板敷隆史組合長(49)は「おおむね天候に恵まれ作柄は上々。購入後すぐならシャキッとした歯応え、追熟させるととろけるような食感になる。好みに合わせ、ぜひ冬の桃を楽しんでほしい」と話している。

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