天王星 赤い月に吸い込まれるよう 笠岡の佐藤さん撮影 神秘の青帯も

赤銅色の月に隠れていく天王星=8日午後8時27分(佐藤司さん提供)

 月が地球の影にすっぽりと入る「皆既月食」と、惑星が月に隠れる「惑星食」が442年ぶりに同時に起こった8日夜、笠岡市のアマチュア天文家・佐藤司さん(67)が月に隠れる天王星の姿と、部分食中に月の表面に現れる青い帯「ターコイズフリンジ」を井原市内で撮影した。

 8日は午後6時8分に部分食が始まり、同7時16分から皆既食に。約1時間後、青緑色に輝く天王星が月の左方向から現れ、同8時28分、月の影に隠れた。佐藤さんは、井原市美星町黒木の「せとうち天文同好会観測所」で、口径35センチ反射望遠鏡を使って一連の天体ショーの撮影に挑んだ。

 ターコイズフリンジは、地球のオゾン層で太陽光の赤い光が吸収されやすいため、青い光だけが通過して月面に投影される現象。肉眼では見えにくく、撮影した写真をパソコンでノイズ処理などを施したところ、神秘的な青い帯がくっきり写っていることが分かった。

 想定よりも月が明るく、直前まで機器の調整に追われた佐藤さん。無事に撮影することができ「一生のうちに二度と見られない瞬間を記録できた。月の色合いが美しく、天王星が吸い込まれるように隠れる動きはスリリングで感動した」と話した。

 次回、皆既食中に惑星食が見られるのは、322年後の2344年7月26日の土星食。

部分月食の欠けた部分に現れた青い帯状のターコイズフリンジ=8日午後7時5分(佐藤司さん提供)

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