県立美術館、図書館が移転へ 宇都宮中央署は美術館の場所に

栃木県が移転を検討する公共施設など

 老朽化が進む栃木県立美術館(宇都宮市桜4丁目)と県立図書館(同市塙田1丁目)について、県が昨年3月に閉館した県体育館の跡地(同市中戸祭1丁目)を移転先の候補地として検討していることが11日、関係者への取材で分かった。老朽化や耐震性が課題となっている宇都宮中央署(同市下戸祭1丁目)は、現在の県立美術館の場所に移す方向で検討している。県庁前の栃木会館跡地(同市本町)の活用では、民間活力の導入も視野に入れることも分かった。

 美術館と図書館はいずれも築50年が過ぎ、バリアフリー対応や収蔵能力などの面で課題があった。宇都宮中央署も建て替えが必要とされ、芝生広場となっている栃木会館跡地の利活用方法も注目されていた。

 体育館跡地や県庁周辺の整備について、福田富一(ふくだとみかず)知事は昨年6月の県議会一般質問で、いちご一会とちぎ国体・とちぎ大会終了後に方向性を打ち出すとし、美術館と図書館の在り方には「『文化と知』を象徴する拠点の役割や、県民の利便性向上を考慮する」などと述べていた。

 県体育館は、宇都宮市西川田地区の県総合スポーツゾーン整備や老朽化などに伴い、昨年3月に閉館。全体の敷地面積は約3万4千平方メートルに及ぶ。国道119号沿いで、同市中心部や宇都宮環状線といった幹線道路へのアクセスも良好だ。県は同所に美術館と図書館に加え、県庁南館にある県立文書館の移転も検討している。

 県立美術館は1972年に全国6番目の県立美術館として開館。大規模な改修工事を行ったが、近年は壁の亀裂や雨漏りなど老朽化が目立ち、収蔵庫不足や駐車場の狭さも指摘されていた。県立図書館は71年に開館し、2012年度に大規模な耐震改修工事を実施したが、今後の在り方が課題となっていた。

 1971年に建設された宇都宮中央署は老朽化などに加え、現庁舎がある約6800平方メートルの敷地も手狭で、駐車場も不足していることなどから移転を検討していた。県警は体育館跡地への移転を要望していたが、県は各施設の在り方などを総合的に考慮し、候補地を決めたとみられる。

2021年3月に閉館した県体育館

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