「キクラゲ」を時津名産に! 生産者組合立ち上げ 地元企業とコラボ商品も

キクラゲを収穫する組合員=時津町、かわはら農園

 中華料理などでよく使われる「キクラゲ」を、長崎県西彼時津町の名産品にしようという動きが進んでいる。農家での栽培、小売店での販売にとどまらず、生産者組合の立ち上げや地元企業とのコラボ商品など、さまざまな取り組みが進行中だ。
 中心となっているのは同町日並郷の合同会社かわはら(川原規代代表)が家族運営する「かわはら農園」。キクラゲはビタミンDが豊富で、カルシウムは牛乳以上、食物繊維もキャベツを上回るという。これに着目し「柔道をする息子にヘルシーで栄養価が高い食材を食べさせたい」と、2019年ごろから本格的にキクラゲ栽培を始めた。
 同農園では手作りした約144平方メートルのビニールハウス内に1200の菌床があり、最盛期の夏場を中心に、4~10月ごろ収穫している。市場では中国産が大半を占める中、純国産、無農薬栽培などの点を売りに「生キクラゲ」「乾燥キクラゲ」などとして販売。町のふるさと納税の返礼品にもなっている。
 今年5月には生産拡大や町の特産品化を目指して「時津町きくらげ生産者組合」(川原貴光代表)を発足した。約20人の組合員は近くの高齢者などで構成し、栽培や出荷作業をすることで対価が得られるほか、栽培ノウハウが学べて事業化も目指せる。知り合いに誘われて組合員となった近所の松﨑久仁枝さん(77)は「収穫や袋詰めなど作業は力いらずで年配者でもできる。何より地域の皆さんと一緒に作業できるのが楽しい」と充実した様子だ。
 地元企業とのコラボ商品も開発、販売が進んでいる。ヘデクパウダーで知られる同町久留里郷の「平坂製薬」(平坂治子社長)は、同農園のキクラゲを粉末状にした「きくらげパウダー」を販売。安全性や栄養価の高さといった利点を生かし「料理にひとさじ足して栄養を摂る」という方法を消費者に提案する。一時は通信販売で品切れになるほど好評で、商品数の拡大を考えているという。
 地元飲食店では、同農園のキクラゲがふんだんに入ったラーメンや粉末を混ぜ込んだ食パンなどの販売も広がっている。同農園は「キクラゲは栄養価抜群で栽培しやすく、純国産は希少であるなど、高いポテンシャルを持っている。町内で生産者の仲間を増やし、時津町の名産として売り出していきたい」と意欲を見せる。


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