春の高校バレー県予選 女子 悔しさをバネに東龍が23連覇 【大分県】

第75回全日本バレーボール高校選手権大会(春の高校バレー)県予選

11月13日 ダイハツ九州アリーナ

女子決勝 東九州龍谷3-1大分商業

春の高校バレー県予選の女子決勝は、絶対王者・東九州龍谷(東龍)と、悲願の初優勝を目指す大分商業の9年連続同じ顔合わせとなった。波に乗れない東龍は第1セットを落としヒヤリとする場面はあったが、第2セット以降は圧倒的強さを見せつけ、23年連続38回目の優勝を決めた。

第1セットは、相原昇監督が「(九州ブロックで敗退した)国体の後遺症が否めなかった。負け癖が出た」と話したように、負けられないプレッシャーから硬さが目立った。大分商業の勢いにのまれ2014年以来、8年ぶりに1セットを失う。

しかし、全国高校総体や国体九州ブロックでの敗戦を糧に、万全の対策をして臨んだ選手たちに焦りはなかった。「次は絶対にセットを取ると思って、気持ちを切り替えた。周りにも最高のバレーをしようと声を掛けた」とキャプテンの飯山エミリ(3年)。そこからメンバーチェンジも含め「全員バレー」を展開。第2セット以降は東龍の持ち味である高速コンビバレーが機能し、キレと高さ、スピードを兼ね備えたスパイクを連発した飯山はもちろん、1、2年生を含めたアタッカー陣、リベロの山田ののは(同)、司令塔の佐村美怜(同)などコートに立つ全員が躍動した。

試合後、相原監督が「1セット目を落としたのが良かった。選手たちも『飯山に頼るバレーじゃダメなんだ、全員がキャプテンでエースにならないと勝てないんだ』ということに改めて気づいた」と話したように、2セット目以降はエース飯山だけのチームでないことを証明した。春の高校バレーは3年生にとって日本一を目指せる最後の舞台。全員バレーにこだわりながらも「3年生には特に爆発してほしい。全員バレーとは矛盾するが、日本一になるためには、やっぱり飯山のエースとしての存在感は必要」という相原監督。全国高校総体、国体九州ブロックと、思うような結果が残せず苦しんできた今季、特に3年生の思いは強いはずだ。選手たちが何度も口にした「絶対勝つ」の思いを胸に、東龍の日本一への挑戦が始まる。

全員バレーで躍動した

喜びの声!声!声!

飯山エミリ(3年)

「1セット目を取られてしまったが、すぐに気持ちを切り替えることができた。最後の(優勝を決めた)スパイクも『絶対決めてやる』という強い気持ちで打ち込んだ。ただ、決め切れる力がまだ少ないと感じたので、春の高校バレーまでにそこを改善したい。日本一になるために大切なのは、チーム力だと思っている。全員が一つにまとまって頂点を目指したい」

加藤明(3年)

「1セット目を落としてしまったが、きちんと対策してきたという自信があったので焦りはなかった。次のセットで巻き返そうという気持ちになれた。ただ、ミスしてしまうことが多かったので、そこは直していきたい。今日は周りに助けられたと思う。春の高校バレーでは、23人全員で楽しく日本一をつかむのが目標。そのために練習の中でもコミュニケーションをしっかり取り、団結力を高めていきたい」

佐村美怜(3年)

「1セット目は動きが硬く、自滅してしまった。ただ、先生やベンチにいるメンバーから声を掛けてもらい、『絶対にやるしかない』と気持ちを切り替えることができた。春の高校バレーは高校で日本一を目指せる最後のチャンス。絶対に日本一になって中津に帰ってきたい。試合には人間性、日々の生活が全て出る。生活面から練習まで『日本一を取れる選手』になりたい」

23連覇に笑顔がはじけた

(甲斐理恵)

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