直木賞作家・澤田瞳子さんが講演 隠元禅師や長崎の魅力語る

黄檗文化や長崎の魅力を語る澤田さん=長崎市、長崎歴史文化博物館

 直木賞作家の澤田瞳子さんがこのほど、長崎市立山1丁目の長崎歴史文化博物館で「長崎の黄檗-隠元をめぐる人々と長崎の町」をテーマに講演し、黄檗文化や長崎の魅力を語った。
 澤田さんは奈良時代を舞台にした「孤鷹の天」でデビュー。絵師・河鍋暁斎の娘を描いた「星落ちて、なお」で昨年直木賞に輝いた。2020年に発表した「わらわ鬼」を皮切りに、日本の黄檗宗の開祖・隠元禅師を題材にした連作短編を執筆している。
 講演では黄檗宗の面白さを「隠元を取り巻くお坊さんたちが個性的。一人一人を書いても長編小説になるのでは」と指摘。隠元については「あれだけの人間を束ねるのはよほどの奇人かできた人か。隠元はすごくできた人だったのだろう」と思いをはせた。
 澤田さんは取材で何度か長崎を訪ねており「長崎は日常の中に海外があり、今でもつながっているということを伝える小説が書けないか考えている。もっと幅広く描いた方が日本における長崎の役割が伝えられるのでは」と明かした。
 同館では企画展「長崎の黄檗 隠元禅師と唐寺をめぐる物語」を27日まで開催している。


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