超小型EV 観光振興へレンタル 津山市、美作河井駅で実証実験

実証実験で美作河井駅を出発する3人乗りのEV

 津山市は、JR因美線美作河井駅(加茂町山下)を利用して最寄りの阿波地域を訪れる観光客を対象に、超小型電気自動車(EV)を貸し出すレンタル事業の実証実験に取り組んでいる。今月末まで採算性やEV普及に向けた課題を探り、同駅での事業化や市内他駅での実施も検討する。

 実験はバイク販売のパドック(下田邑)やJR西日本岡山支社などと連携し、3人乗りと1人乗りのEV各1台を土、日曜、祝日限定でパドックが貸し出す。駅と観光拠点を結ぶ新たな交通手段とすることで低迷するローカル線の利用促進を図り、EV普及を通じた脱炭素化にもつなげる試み。

 実験は9月にスタートし、これまでに市内外の3組が利用。9月に阿波森林公園などを訪れた男性(79)=同市=は「のんびり巡るならEVは最適。日常生活でも使いやすそう」と評価。同乗した妻(75)も「開放感があって気持ちいい」と喜んだ。

 市は同駅構内に国の近代化産業遺産になっている転車台、フル充電で約40キロというEVの走行圏内に温泉、キャンプ場といった観光施設があるため、阿波地域を実験エリアに選んだ。今後、パワースポットとして全国から参拝があるサムハラ神社に近い美作加茂駅(加茂町桑原)や旧津山城下の周遊が楽しめる津山駅(大谷)での実施、JR乗車券などをセットにした観光商品の開発も検討する。

 市環境生活課は「EVの魅力をPRし、観光振興に結び付けたい」としている。

 事前予約制で料金は3人乗り、1人乗りともに3千円。利用は同駅に津山方面から午後0時15分、鳥取方面から同1時23分に到着する便を対象に約4時間を想定している。予約はパドック(0868―28―3191)。

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