半紙1万7千枚に468万字…84歳男性が20年かけて大般若経を写経「すがすがしい」、福井県小浜市

20年かけて大般若経の写経を完成させた足立哲さん=福井県小浜市

 福井県小浜市に住む足立哲さん(84)が、仏教経典「大般若波羅蜜多経(だいはんにゃはらみったきょう)」(通称・大般若経)の写経を20年かけて完成させた。半紙約1万7千枚に約468万字の漢字を書き写した大作で、足立さんは「書き上げたというすがすがしい気持ちでいっぱい」と満足そうに話している。

 若狭農林高校(現若狭東高校)教諭だった足立さんは、50代のとき嶺南地域の住民ら370人で手書きの大般若経を完成させる一大プロジェクトに参加した。全600巻のうちの2巻分を書き上げたが、いつか自分一人の力で成し遂げてみたいという思いがあった。

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 2002年から一日に600~900字のペースで書き始めた。ただ書写経験が乏しく納得のいく字を仕上げるのには苦労したという。旧字体の難解な漢字も多く、辞書を使いながら漢字を解読した。2カ月ほど病気入院で筆が執れない時期もあったが、今年4月に無事に完成させた。妻の喜美子さん(79)は「字を書いているときは静かに集中しているので、後ろからそっと見守るようにしていた。まさか本当に完成させるとは」と驚いた様子だった。

 足立さんは20年間の挑戦を振り返り「陰ながら応援してくれた妻に感謝したい」と話し、「大般若経は600万字ほどあると聞いていたが、想像より字数が少ないと分かり面白かった」と笑顔を見せた。

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