【厚労省】「ロートアルガード クリアノーズ」指定第2類にリスク区分変更/顛末書提出、中間報告の不備で

【2022.12.01配信】厚生労働省は12月1日、「第3回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会」を開催し、「ロートアルガードクリアノーズ 季節性アレルギー専用」(ロート製薬)のリスク区分変更を審議し、現在の第1類医薬品から指定第2類医薬品にすることとした。なお、要指導医薬品製造販売後安全性調査中間報告書において不備があったとして、ロート製薬から顛末書が提出された。禁忌事項や効能効果への逸脱例に関する集計結果を示さなかったことに関すること。実際の安全上の懸念はないとされた。

事前の「第13回安全対策調査会」では、耳鼻咽喉科の専門家の参考人から、「医療用として実臨床での使用経験が多数あり、副作用として重篤なものは報告されておらず安全性が高いことから、類薬と同様に指定第2類医薬品としての販売については問題がない」との意見が出ていた。
医薬品等安全対策部会においても、参考人の意見も踏まえ、類薬であるベクロメタゾンプロピオン酸エステル及び塩酸テトラヒドロゾリン・プレドニゾロンと同様に、指定第2類に分類することが妥当との結論となった。

なお、同部会ではロート製薬から顛末書が提出された。中間報告において不適正使用に関する記載が不十分であったことに関するもの。
具体的には要指導医薬品製造販売後安全性調査中間報告書において、「適正使用状況(「してはならないこと」「相談すること」「用法・用量」「効能・効果」等の遵守)については、本調査期間内においても逸脱するような過量使用及び漫然とした長期間使用等も行われておらず、適正使用状況は遵守されていたことから、新たな安全対策の必要性はないと判断した」と記載していたが、実際は禁忌事項や「効能・効果」逸脱例を把握していたという。事例に対して、社内で “少ない”と評価し、また過量使用や漫然とした長期使用等が行われている事実が確認できなかったため、報告が不十分になったとした。
同社は「現時点で報告内容を見直すと、中間報告において不適正使用の集計結果を示しておらず、また、実際には一部不適正使用があったにも関わらず、“適正使用状況は遵守されていた”とご報告しており、事実から外れる表現であったと考えています」とコメントしている。

実際の不適正使用の把握事例は、累計1177件のうち、ハウスダストへの使用が17件(1.4%)、高血圧30件(2.5%)などがあった。
効能・効果における不適正使用(季節性アレルギー以外への使用)例については、使用例数は少なく(累計 20 例)、不適正使用による副作用も報告されていないこと、また、同成分は医療用医薬品において季節性アレルギー以外への使用経験があることから直ちに安全対策の必要はないと考え、把握した時点での追加の注意喚起は行っていなかった。なお、季節性アレルギー以外に使用したと思われる購入者を含め、長期間(1ヶ月超)にわたり使用した事例は確認されていないという。
禁忌(高血圧、緑内障)への使用例については、「お客様アンケート用紙」入手時に禁忌疾患への使用が確認できた時点で購入者及び販売店への文書による注意喚起を行っている。その後、注意喚起を行った販売店から禁忌への使用例は報告されておらず、販売時の説明が徹底されたと認識しているとしている。
同品については、承認時に漫然と長期間使用されることが懸念されていたが、同社では調査の結果、1 カ月を超えて使用された事例は報告がなかったとした。また、使用回数は承認用法・用量の2回/日の症例が 86.0%であり、2 回/日を超えて使用した不適正事例の報告はなかった。
こうしたことから、同社では、不適正使用による安全上の懸念はないとしている。

これらの事例に対する対応としては、薬局へ本製品の納入前に、「解説書」等を用い製品説明を行うとともに、「適正使用のチェックシート」等を配布し、購入者への説明に利用するよう依頼しており、これら対応に関して製品の販売開始前に営業部門等関係者への社内教育を実施したとする。

同品は2022 年 1 月 6 日最終出荷以降、2021 年10 月販売終了(在庫なくなり次第終了)の公文書を発信しており、販売を休止している。販売を再開する際には、情報収集や伝達、注意喚起などの社内体制整備や各部門でも教育徹底を行うとした。

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