「ボートレース大村の組織革新」 業績回復は関係者の相互作用 林長崎大教授が分析

 2020年に公営ボートレース売り上げ日本一を達成したボートレース大村(大村市)の業績回復について、林徹長崎大経済学部教授が論文「ボートレース大村の組織革新」をまとめ、このほど日本経営学会で報告した。業績回復を担ったのは特定の人物というより関係した人々の相互作用であったと結論づけた。
 論文によると、ボートレース大村は03年、全国24場の中で最下位の売り上げ。02年の市長選では存廃が取り沙汰されていた。しかし当選した故松本崇市長の人事で競艇事業部長に就任した故遠藤謙二氏が陣頭指揮を執り、ハード、ソフト両面で営業努力を重ねて売り上げを伸ばした。
 論文では、ボートレース事業の存続発展を選択した組織革新の担い手は誰だったのかを分析。遠藤氏一人でもなければ松本市長一人でもなく、(1)市長選で存廃を問われた有権者(2)存続を公約に掲げて当選した松本市長(3)廃止を公約に掲げて落選した対抗馬(4)遠藤氏や後続の競艇企業局長、市職員(5)ファン-の長期にわたる相互作用だったとした。
 その上で「業績が悪化した時、手をこまねいて英雄の登場を待つのではなく、当事者・責任者が協力者となるかもしれない人たちに粘り強く地道に働きかけ続ければ、一緒に組織革新の担い手となる」と論じた。


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