安保関連3文書改定「敵基地攻撃能力は違憲」 長崎県内34団体が反対声明

「今の日本は戦前の状況と似ているように思う」と危機感を示す本田会長(右)=長崎市役所

 政府が16日に閣議決定を予定する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有などを盛り込んだ「国家安全保障戦略」など安保関連3文書改定について、長崎県内の被爆者団体や平和団体など34団体は13日、「敵基地攻撃能力の保有は憲法違反であり、強く反対する」との声明を発表した。
 自衛目的で他国領域のミサイル基地などを破壊する反撃能力を巡っては、政府はこれまで「憲法上は可能」との見解を維持する一方、周辺国に脅威を与えないとの立場から保有してこなかった。安全保障政策を大きく転換するもので、憲法9条に基づく国是である「専守防衛」を逸脱しかねないとの懸念は根強い。
 声明は、反撃能力について「先制攻撃になりかねない。いったん相手国を攻撃すれば日本が反撃を受け、多くの国民が犠牲になる」と指摘。政府が防衛費を大幅に増額し、財源のうち年1兆円強を増税で賄う方針を示したことに、「コロナ禍や物価高にあえぐ国民にさらなる税負担を課す防衛費の増額は到底受け入れられない」と批判した。
 長崎市役所であった記者会見で、長崎原爆遺族会の本田魂会長(78)は「今の日本は戦前の状況と似ているように思う」と危機感を示し「八十数年前を思い出して、絶対に反対してほしい」と訴えた。
 34団体は17日午後3時から長崎市中心部の鉄橋で反対集会を開催。声明を政府や各政党に送付する。


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