年始に血液不足懸念 第8波で「大変厳しい状況」 企業の献血協力呼びかけ

県内献血の計画達成率

 手術などで輸血用血液の需要が増える年明けを前に、県内で血液不足の懸念が強まっている。県赤十字血液センターによると、新型コロナウイルス感染第8波の影響で、12月に入ってから献血者数が計画を下回る状況が続き、関東甲信越では既に11月に約3千人分の不足が出た。企業の協力が十分に得られていないことなどが影響し、センターは「大変厳しい状況」と一層の協力を呼びかけている。

 センターによると、県内では12月1週目までは計画数に対する実施数を表す達成率が100%を超えていた。2週目に入り、平日の達成率が93%となるなど、陰りが見え始めている。高校生らに協力してもらう「学内献血」も生徒や家族に感染が広がったため、10月末~12月10日の達成率は100%を下回った。

 本県を含む1都9県の関東甲信越ブロックではより厳しい状況で、特にA、O型が不足している。同ブロックの血液センターによると、11月11日からの3週間で計画人数に対し、累計3216人足りなかった。

 県赤十字血液センターの担当者は、コロナの感染第8波による献血控えの中でも、特に企業の献血が振るわなくなっている点を理由に挙げる。

 もともとコロナ禍以降、献血に協力していた工場など数百人規模の従業員を抱える事業所の一部で、感染への不安などを理由に断るケースが出た。県内では企業分だけで年間約2500人分の血液提供がなくなった試算の中で、血液の確保に尽力してきた。

 現状、ショッピングモールなどでの週末の街頭献血が頼みの綱だが、担当者は「安定した血液確保のためには平日の献血が重要。まとまった量が見込める企業の力が必要」と強調する。

 血液の需要は、年明けに手術の予定が集中する傾向に伴って高まる傾向にあり、センター側は12月中の在庫の確保に苦心する。担当者は「献血を中断している企業に復活してもらえるよう、厳しい現状に理解を求めていきたい」と話した。

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