美咲のアイガモ農場で鳥インフル 県内今季4例目、高病原性疑い

鳥インフルエンザが検出された岡山県美咲町のアイガモ農場((C)Google 県提供)

 岡山県は19日、同県美咲町のアイガモ農場で、高病原性鳥インフルエンザが疑われる事例が発生したと発表した。この農場では食肉用のアイガモ約2万3千羽を飼育しており、県は遺伝子検査で陽性が確認されれば殺処分する。県内では10~11月、いずれも倉敷市の養鶏場3カ所で鳥インフルが発生、家禽(かきん)農場では今季4例目となる。

 アイガモはマガモとアヒルの交配種で、家畜伝染病予防法ではアヒルに分類される。19日午前8時20分ごろ、農場主から「死んだ羽数が増加している」との連絡が津山家畜保健衛生所にあった。死骸は約400羽に上っており、県は死んだ11羽を含む13羽を簡易検査し、6羽が陽性となった。

 アイガモ農場の周辺は家禽の飼育が盛んなエリアの一つ。半径10キロ圏内にある養鶏場12カ所で採卵鶏とブロイラー計約268万羽が飼育されている。県は陽性なら3キロ圏内を鶏や卵の移動制限区域、3~10キロ圏は圏外に持ち出せない搬出制限区域に設定し、畜産関係車両を対象にした消毒ポイントを周辺4カ所に設ける。

 県によると、今回の飼育舎は「セミウインドーレス」と呼ばれる窓のあるタイプで、アイガモは施設内で平飼いされていた。農林水産省の疫学調査チームが20日に現地入りし、感染ルートの解明に着手する。

 岡山県は19日夜、対策本部会議を開き、陽性が確定すれば24時間態勢でウイルスの封じ込めに当たることを確認した。伊原木隆太知事は会議後、記者団に「できることを全てやり、新たな発生の可能性を極限まで抑えたい」と述べた。

 県内ではこれまで2007年に高梁市、15年に笠岡市、20年に美作市で鳥インフルが発生した。今季は10月27日に国内初となる1例目、11月3、10日に2、3例目が確認され、県は採卵鶏計72万羽を殺処分。今月10日に制限を全て解除して一連の対応を終えた。養鶏場以外の家禽農場でのウイルス検出は初めて。

今後の鳥インフルエンザの対応策について協議した岡山県の対策本部会議

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