『ヴェルカ昇格 V長崎低迷』 プロ2クラブで明暗分かれる <長崎スポーツこの1年>

B3優勝パレードでファンと喜びを分かち合ったヴェルカ(写真右)。対照的にホームで勝てずに苦しんだV長崎

 地元プロスポーツ2クラブの明暗が分かれた年だった。
 5月に閉幕したバスケットボール男子Bリーグ3部(B3)。リーグ初参入の長崎ヴェルカは45勝3敗と圧倒的な強さで優勝を飾り、公言していた通りに2部(B2)昇格を果たした。10月に開幕した2022~23年シーズンも3分の1を消化した時点で西地区の首位争いを繰り広げている。
 B2参入を前にゼネラルマネジャー兼監督としてチームの礎を築いた伊藤拓摩氏から、若手コーチの前田健滋朗氏へ監督交代。選手、スタッフの陣容を強化して臨んだ。序盤は主力の故障で負けが込む時期もあったが、11月下旬に得点力のある外国人選手を補強。素早い対応で今季最長の6連勝につなげた。
 60試合のレギュラーシーズンを終えた後、上位8チームによるプレーオフ(PO)の決勝に進めば1部(B1)昇格が決まる。リーグ全体で勝率1位になれば、PO全試合をホームで開催できる。「長崎のみなさんと優勝を味わいたい。また、同じ景色を見たい」(前田監督)。クラブはB3優勝パレードなどでファンと共有した喜びの場を、再度提供することを目標にしている。
 一方、サッカーJ2のV・ファーレン長崎は、過去2年を3、4位と上位でフィニッシュしながら、J1参入POが復活した今季は11位と不本意な順位で終えた。
 2年連続でシーズン途中に監督が交代した。今季途中から監督に就任したのはブラジル人のファビオ・カリーレ氏。当初は負け知らずだったが、中身は引き分けも多く、選手からは「負けなしよりも、勝ち切れていないことをクローズアップしないといけない」と危惧する声も徐々に上がってきた。
 7月下旬の第29節までPO圏内の4位に位置していたが、次節で12試合ぶりに敗れると、以降はプレーに迷いが生じたのか、過密日程とも重なり負の連鎖に陥った。大事な終盤戦で連敗して昇格の可能性は消えた。
 特に残念だったのは、地元ファンに歓喜の瞬間をあまり見せられなかったこと。地の利を生かせず、ホームでは4勝しかできなかった。スタンドからは何度もため息が漏れた。
 巻き返しの来季へ向けて、カリーレ監督の契約更新は誰よりも早く発表された。キャンプからチームづくりをした上での“カリーレ流”がどんな結果を出すか。その真価が問われる1年になる。


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