冬の主役たち(3) バスケットボール女子 自分の選んだ3年間に悔いはないと語る藤田鈴(大分3年) 【大分県】

2年連続2度目の全国高校バスケットボール選手権大会(ウインターカップ)に出場する女子の大分は、中高一貫校として「6年強化」で結果を出している。そんな中、高校から加入したのが藤田鈴だ。佐伯城南中から「強い高校でバスケがしたい。楠本(哲二)監督に学びたい」と入学した。

藤田は強い決意を胸に初日の練習に参加したが、衝撃を受けた。「レベルが高いのは分かっていたが、これほどの差があるとは思わなかった」。ボールのハンドリングの巧さ、パスの技術の高さ、シュートの正確性に驚いたが、何より同じ中学で3年間プレーしてきた同級生5人のチームワーク、息ぴったりのコンビネーションプレーは想像を絶した。自分の居場所を作るには「うまくなるしかない」と練習に没頭したが、同じように向上心のある部員との実力差はなかなか縮まらなかった。

同級生5人全員が上級生チームのベンチに入り、試合に出る。「自分だけがベンチにさえ入れず、輪の中に入れないのが悔しかった」と藤田は帰宅中に一人で涙することもあったが、辞めようとは思わなかった。「自分にしかできないことがある」と奮起、2年が過ぎて最上級生になった頃、「藤田は誰よりも声を出し、練習からチームの雰囲気を変えてくれる」という楠本監督の評価に、気持ちが前向きになった。

練習から大きな声で盛り上げる藤田鈴

その頃から入学当初はリングに届いていなかった3点シュートが、武器になるようになった。選手として「最後の大会」と心に決めて臨んだウインターカップ県予選でベンチ入り。同級生だけでなく下級生も藤田の頑張りを見てきたからこそ、誰もが喜んだ。仲間と同じコートに立ち、出場時間は長くはなかったが決勝までの3試合で3点シュート4本を含む16点を決めた。3年間の成長を感じ、やり切ったと思えた。

ウインターカップではマネージャーとしてベンチに入るが、「最後まで悔いのないようにプレーをしてほしい」と誰よりも大きな声で選手を後押しするつもりだ。大会前には対戦相手の試合映像を分析し、コートに立つ選手に相手の特徴や得意なプレー、苦手なプレーを事細かに伝えた。司令塔の梶西未知(3年)は、「3年生『6人』でプレーできる最後の大会。自分のためだけでなく、誰かのために頑張ると思えるから私たちは強い。鈴のために少しでも長く試合ができるように勝ちたい」と話した。

「試練の3年間を乗り越えたから今がある」と笑う

(柚野真也)

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