2023年 長崎県内経済「3年ぶり下降」 コスト高が圧迫、観光回復に期待

新年の長崎県内経済の見通し

 十八親和銀行系シンクタンクの長崎経済研究所(長崎市)が県内主要企業・団体トップ109人にアンケートした2023年の県内経済見通しは、「回復」予想から「悪化」予想の割合を差し引いた判断指数(DI)がプラス53.2となり、前年から16.2ポイント悪化した。20年にマイナス4まで落ち込んだ後、上昇に転じたが、3年ぶりに下降した。新型コロナウイルス感染症の影響が薄れ、経済活動の正常化が進む一方、ウクライナ情勢や為替円安などを背景とするコスト高が経営を圧迫し、不透明感が増している。
 回答割合は「回復する」(7.3%)と「やや回復する」(56.9%)が前年比で計8.8ポイント減少した一方、「やや悪化する」(11%)は7.4ポイント増加した。「悪化する」は前年と同じくゼロ。「横ばい」(24.8%)は前年とほぼ同じ割合だった。観光業の回復やJR長崎駅周辺の再開発などがプラス要因に挙がる一方、原材料やエネルギーの価格上昇、円安などの不確定要素が下押し圧力となった。
 国内経済の見通しはプラス38.5で、36.3ポイント減の大幅下落。「回復する」(6.4%)と「やや回復する」(48.6%)が計23.4ポイント減ったのに対し、「悪化する」(0.9%)と「やや悪化する」(15.6%)は計12.9ポイント増えた。物価上昇などのマイナス要因が県内見通しよりも強く反映された形。県内が国内を上回るのは、観光面の好調を追い風に県内の景況感が高い水準を示した16年以来7年ぶりとなった。
 同研究所の泉猛主任研究員は「物価高により消費が伸びず、コスト高も先行きが見通せないため、県内企業にとって厳しい経営環境が続きそうだ。『ウィズコロナ』での経済活動が進む中、県内経済は国内と比べると、まちづくりの進展や観光の回復などのプラス要素が、期待につながったのではないか」と分析した。
 アンケートは毎年12月に選択式と記述式で実施。業種別の内訳は製造21、運輸11、建設8、卸売15、小売12、電力・ガス・通信4、サービス23、その他15。

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