2022年 長崎県内コロナ感染「オミクロン株猛威」 前年比50倍、死者5倍

過去3年間の長崎県内新型コロナ感染状況

 長崎県内で2022年に確認された新型コロナウイルス感染者数は27万4982人に上った。前年に比べ約50倍に激増。感染力が強い変異株「オミクロン株」への置き換わりが要因と考えられる。死者数は351人で前年の5.1倍。重症化率は下がったものの、感染者の爆発的な増加で死者数も増えた形だ。現在流行第8波の真っただ中で病床使用率は50%前後で推移するなど関係機関は警戒を強める。
 21年11月に南アフリカなどで確認されたオミクロン株は世界で猛威を振るい、国内でも22年1月以降、爆発的に拡大。流行第6波が起きた。県内では1月中旬以降、連日のように過去最多を更新し、同下旬には700人台まで増えた。県内全域が国の「まん延防止等重点措置」の適用対象となり、3月6日まで続いた。
 夏には従来のオミクロン株より感染力が強いとされる同株の派生型「BA・5」への置き換わりが進んだ。盆明けには1日の感染者としては過去最多の4610人まで増加。8月の累計感染者は8万人台となった。過去に例のない爆発的な感染で入院患者を受け入れる病院や発熱外来を受け付ける診療・検査医療機関は逼迫(ひっぱく)した。
 一方、国や県は第7波以降、行動制限を伴う措置は講じず、新型コロナとの共生を図る「ウィズコロナ」にかじを切った。9月には感染者の全数把握を簡略化し、医療機関や保健所の負担を軽減した。ただ、12月には再び感染者が千人を超える日が増加。12月の累計は4万人台となり、月別で過去2番目の多さだった。
 国は感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる検討に入っている。ワクチン接種や治療薬の開発は進み、重症化率は低下しているが、高齢者をはじめとしたリスクが高い人への医療提供体制を維持できるかなど課題もある。


© 株式会社長崎新聞社