韓国紙「米有力紙が政府にTPP加入を提案」 韓国首相「日本に貿易奪われる」...過去に発言

米国の有力紙が、バイデン政権には対中国貿易政策が不在であるとし、米国が多国間自由貿易協定(FTA)である環太平洋経済同伴者協定(TPP)に加入することを提案した。

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韓国聯合ニュースは5日、ワシントンポスト(WP)の4日報道を引用し、「米国がアジアで輸出市場を拡大し中国の影響力を制御するためには、輸出統制や関税などの防御戦略だけでなく、アジア諸国と経済関係を強化する攻勢的な戦略が必要だとする提案を伝えた。

WPは中国と東南アジア間の貿易が過去4年間で71%成長したとし「中国は世界で最も生産的な地域の経済形勢を支配し、米国と同盟への影響力を育んでいる」と評価した。

それとともに、前任トランプ政権が2017年に脱退したTPP加入を再度推進することが解決策になると主張した。

オバマ政権で推進したTPPは、米国の脱退以降、日本が主に主導し、他にカナダ、オーストラリア、メキシコ、シンガポール、マレーシア、チリ、ベトナム、ペルー、ニュージーランド、ブルネイなど11カ国が参加する包括的・漸進的環太平洋経済連携協定(CPTPP)として 2018年に発足した。

以後、中国が加入を申請し、中国が米国の空白を狙ってアジアで経済的影響力を拡大するという懸念が米国内で提起された。

WPは、オーストラリアと日本が中国の加入に反対すると予想されるが、米国が脱退していること自体が中国の立場では経済・外交的勝利だと指摘した。

また「米国人も、ロシアから東南アジアまで繋がる中国主導の巨大経済ブロックが、米国の労働者や安保に役立たないことが分かる」だろうと主張している。

WPは、TPPを通じてアジアの貿易障壁を下げることが米国の競争力と安全保障の強化に寄与することを強調し、TPPの内容を一部補完すれば政治的支持を確保することが容易になると予想した。

例えば、中国がTPPに加入しても過剰な恩恵を受けないように原産地規定を厳しくすることなどを提案している。

一方、韓国でも、TPPを巡る議論はこれまでも度々起こっている。特に一昨年、中国と台湾が加入を申請した際には、韓国も乗り遅れるなという論調が経済メディアなどを中心に沸き起こった。

一方、昨年春に発足した尹錫悦政権で首相に任命された韓悳洙(ハン・ドクス)総理は過去にTPP加入を提唱したことがある。

韓首相(当時、韓国貿易協会会長)は2014年12月3日に行われた「第51回貿易の日」行事において「韓国が12カ国に1200億ドルほど輸出するが(TPPに参加しなければ)そのようなものが日本に移る可能性が高い。私達はこれを真剣に考えなければならない」と述べている。

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