米議会調査局「米国の保護貿易は近隣窮乏化政策」「米企業の競争力低下させる」

米国の保護貿易政策は米国経済を生かすために隣国を貧しくする「近隣窮乏化」(Beggar-they-neighbour)政策であるとの分析が米国内から出ている。 米国が保護貿易で短期的な利益を見るかもしれないが、長期的には自国企業競争力を低下させる可能性があるとの見方だ。

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26日、米議会調査局(CRS)が作成した報告書『管理貿易(保護貿易)および数量制限』(Managed Trade and Quantitative Restrictions: Issues for Congress)によると、米国の一部の議員たちは、過去の貿易交渉・協定が他国の不公正な保護主義慣行を減らすことが出来ず、米国企業や農民、労働者にとって利益にならなかったと主張しており公正な貿易環境を達成するためには、保護貿易が避けられないというロジックの根拠となっている。

続いて報告書は、彼らが保護貿易のために「輸入数量制限」(QR)措置を擁護しているとし、ドナルド・トランプ前大統領が国家安全保障脅威を理由に貿易拡張法232条により韓国、ブラジル、アルゼンチンなどに2018年適用した「鉄鋼クォーター制」をケースとして挙げた。

報告書はまた、米中第一次貿易協定が「平等な取引の場」を作ったという議会内の評価も伝える一方で、「こうした輸入制限・輸出促進政策が米国の貿易赤字規模の縮小に役立つということに経済学者のほとんどは同意しない。 両者間の貿易フローを管理することは、両者間の貿易不均衡には影響を及ぼすが、米国全体の貿易収支にはほとんど影響がない」と伝えている

報告書は、輸入数量制限措置が長期的に米国企業の競争力を低下させる可能性があると指摘している。実際、1980年代、米国が日本製自動車の輸入を制限するや車両価格が上がり、日本の自動車企業が米国に工場を設立したことで米自動車業界はより激しい競争に追い込まれた例がある。

報告書は、「QRの使用は短期的に競争の場を平準化するために正当化することができる」としながらも、「米国の貿易パートナーはこれを近隣窮乏化政策とみなすことができ、(中国など)他国は保護主義を強化する独自の政策を採択しようとする可能性がある」と指摘した。

米国は最近、安全保障上の理由をもとに、中国に対する微細半導体製造技術の輸出規制網を構築しているが、これは同時に、米国の半導体産業の競争力強化と表裏一体になっているとの指摘もある。また、インフレ削減法(IRA)の成立によって米国以外で製造された電気自動車は補助金の対象外となっており、韓国やEUから強い反発の声が出ている。

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