大分トリニータ 在籍10年目の誓い 伊佐耕平 【大分県】

2023年は伊佐耕平にとってプロ10年目の節目の年となる。昨季は層の厚いFWのポジション争いで序列を覆せず、思うように出場機会を得られなかったが、J1参入プレーオフの熊本戦で得点を決め、大一番での勝負強さを証明した。今まで「フォア・ザ・チーム」に徹するコメントを貫いてきた伊佐の意識にも、大きな変化が出てきている。

「昨年はJ1に上がることができずに悔しい思いをした。10年大分でプレーしてJ3やJ2を経験したが、J1でプレーした3年間が一番楽しかった。もう一度、あの場所に戻りたい。今年はJ1昇格に自分が大きく貢献したい。まず個人で頑張りたい。ポジション争いは毎年厳しいが、必ずチャンスはある。2桁得点を狙う」

積極的に若手に声をかけ、チームを盛り上げる伊佐耕平

昨季チーム最多得点の長沢駿がいる。大器の片鱗を見せたサムエルもいる。現時点で下平隆宏監督の構想は明らかになっていないが、仮に1トップの布陣となれば、FW勢の争いはし烈になる。その状況を十分に感じての抱負だろう。彼の性格上、今までなら個人的な目標を口にするとしても「まずはチームが勝つこと」と言った後だったが、今年は「まず個人」。そう言い切った。

チーム最古参となり、年齢的にもチームを引っ張る立場となった。「良くも悪くも影響があると思う。チームは若くなり、自分が盛り上げながら、いい雰囲気で競争ができればいい」と歓迎している。ただ、立場が変わっても「毎年が勝負。1年1年という気持ちでやってきた10年間だったが、今年も1年目という気持ち」と初心を忘れることはない。元々は自我の強い男がシーズンを通してピッチに立ち、自らがゴールを奪ってチームを勝利に導くという目標を打ち立てた。J1をつかみ取るための、そして自分自身との戦いのシーズンが、今始まった。

「今季は2桁得点を取る」と宣言した

(柚野真也)

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