極寒の恵み... 天然氷の切り出し始まる 日光

極寒の中で行われた天然氷の切り出し

 栃木県日光市山久保の製氷池で9日、蔵元「松月氷室(しょうげつひむろ)」(日光市今市)の天然氷の切り出しが始まった。厳しい日光の冬を象徴する天然氷は「日光の自然そのもの」と同社の吉新昌夫(よしあらまさお)社長(63)。まだ夜が明けきらない早朝、硬くて透明な氷を切り出す機械の音を山あいに響かせた。

 例年よりやや暖かいとはいえ、製氷池付近の気温は午前6時で氷点下3度。池に張った氷を吉新さんが縦78センチ、横50センチの氷板に切り分け、氷室のスタッフや手伝いに訪れたかき氷店の関係者ら15人ほどが冷凍倉庫に運び込んだ。

 この時季、氷は1日に1センチ厚さを増すという。昨年12月下旬に準備を始め、「天気が悪くなりそうだった」と切り出しを3日ほど前倒し。このため厚さは12~14センチとやや薄くなったが、透明度や硬さなどは十分で「質のいい氷ができた。ふわふわのかき氷を楽しんでほしい」と吉新さんは笑顔を見せた。

 氷板2500枚ほどが切り出せるこの製氷池では今後もう一度氷を張らせ、計4千枚ほど生産するという。天然氷の需要は高まり、2月中旬には全国に出荷を始める。

極寒の中で行われた天然氷の切り出し
極寒の中で行われた天然氷の切り出し
極寒の中、製氷池から切り出された天然氷

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