昨年10月、長崎県松浦市鷹島町の「鷹島海底遺跡」から引き揚げられた鎌倉時代の元寇(げんこう)船の木製大型いかり(一石型いかり)について、市は10日、いかりの木材部分の脱塩など保存処理作業を始めた。おおむね2年をめどに作業を完了させる見通し。
引き揚げ後、いかりは市立埋蔵文化財センターで海水に浸して保存し、一般公開していた。
10日はいかり(約1.8メートル)をクレーンで海水プールから引き揚げ、重量を測定。海水を含んだ状態で157.5キロだった。仮設の台に移し、職員がはけや筆を使って付着した泥や汚れを丁寧に取り除き、真水のプールに入れた。今回初めて蛍光エックス線分析装置を使用し、木材に染み込んだ海水の成分のデータを収集する作業も行われた。
市は3月まで脱塩作業をした後、4月ごろにはトレハロース(糖)を木材に染み込ませて保存する作業を実施する予定。
市文化財課の内野義課長は「今回は検証に重点を置いている。保存処理にどれくらいの時間を要するのかなどさまざまなデータを収集し、将来の元寇船引き揚げにつなげていきたい」と話した。
元寇船いかり 保存処理作業を開始 松浦市、2年めどに作業完了へ
- Published
- 2023/01/11 11:00 (JST)
- Updated
- 2023/01/12 12:44 (JST)
© 株式会社長崎新聞社