県内自治体仕事始め 13市長が抱負 長崎/新庁舎 進化の舞台に 佐世保/IR、石木ダム正念場

新庁舎の大会議室で新年の訓示をする田上市長=長崎市役所

 長崎県内13市の市長らも地域の動きや課題を踏まえて抱負や展望を語り、新たな1年がスタートした。
 真新しい庁舎で仕事始めを迎えた長崎市の田上富久市長は「市民、庁内、庁外との三つのコミュニケーション力向上が、地域課題の解決や地域の力を最大化するために重要」と強調。「まちの形や社会の在り方が変化する中で、新庁舎は進化の舞台」として、市民サービスの向上、部局間や「産学金」との連携を進めようと呼びかけた。
 朝長則男佐世保市長は、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)誘致に向け「認定されれば活性化の大きな力になる。総力を挙げて対応する」と抱負。東彼川棚町に計画する石木ダムの建設用地を、元所有者の住民が買い戻す権利が9月に発生する可能性を踏まえ「今年が正念場。住民に立ち退いていただく手続きを取らなければ。県にも要望していく」と述べた。

職員を前に新年の訓示をする朝長市長=佐世保市役所

 新型コロナ禍は4年目に入る。「ウィズコロナ・アフターコロナの街『島原』をつくる」と意気込むのは古川隆三郎島原市長。子育て支援や古民家を改修した滞在施設の開業、企業誘致などを進めるほか、来年の島原城築城400年に向け「機運醸成を図り、島原城の新たな文化や魅力を創造する」。大久保潔重諫早市長も「アフターコロナが本格的に始まる」と1年を占い、政府の地域活性化策「デジタル田園都市国家構想」に触れ「(職員と)一丸となって創意工夫し、活力ある諫早市に向けて頑張りたい」と力を込めた。
 今年の干支(えと)「卯(う)」にちなんだあいさつも。ウサギ柄のネクタイを着けた園田裕史大村市長は「耳を立てて市民や議会の声を聞き、市政を進める」とし、11月の任期満了を控え「マニフェスト(公約)をどれだけ実現できたか、できなかったものはなぜか、整理してまとめる作業に入る」と語った。金澤秀三郎雲仙市長は「卯は臆病と言われるが挑戦しないと成功はない。積極果敢に取り組んで」、友田吉泰松浦市長は「目の前の目標を確実に乗り越え、その積み重ねで高い壁を乗り越えて」と求めた。野口市太郎五島市長は「市民の声に耳を傾け、情報収集を」と呼びかけ、それぞれウサギの「耳」や「跳躍力」にかけて職員を激励し、「飛躍」を誓った。
 国連の持続可能な開発目標(SDGs)を推進し、「SDGs未来都市」選定から3年目となる対馬市。比田勝尚喜市長は、海岸漂着ごみ問題などの解決のため化学・日用品メーカーなどと連携する循環経済モデル「対馬モデル」の確立に向け、「コンセプトは民間主導での構築。将来的には雇用創出や企業誘致にもつながる」と期待を込めた。黒田成彦平戸市長はテーマとして、自らチャレンジし新しい知恵や人材も受け入れる「異端」、新技術に向き合い活用する「先端」、地理的ハンディを克服する「最西端」の3点を挙げて職員の奮起を促した。
 松本政博南島原市長は「人口減少に対する各施策を拡充する年」と位置付け、農業やそうめん産業の振興や後継者対策、道路整備の促進などを目指す。杉澤泰彦西海市長は「各自の変革こそが市役所の組織力強化につながり、市民の幸福度を上げる」と訓示。3日に新型コロナ陽性が確認された白川博一壱岐市長の訓示は、眞鍋陽晃副市長が代読し、昨年成立の改正離島振興法について「関係人口の創出や再生可能エネルギーの利用推進、離島留学制度など本市の重点課題が盛り込まれており、しっかり活用する」とした。


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