韓国紙「日本産鉄鋼が中国産より安く流入...輸入規制も視野」 日本に「対抗輸出」の声も

韓国に日本の鉄鋼が低価格で入ってきており、ダンピング関税の適用を求める声が出ているようだ。

(参考記事:米国が韓国産鉄鋼に反ダンピング関税を賦課へ 正常価格を下回ると判断

韓国経済新聞は10日、『中国より安い日本産熱延が大量輸入… 「ダンピング論争」』というタイトル記事を掲載し、韓国の鉄鋼業界で不満の声が出ている様子を報じた。(当該記事URL:https://www.hankyung.com/economy/article/2023011041121)

韓国鉄鋼協会の調べによると、韓国の昨年第4四半期(10~12月)の日本産熱延(鋼板)製品の輸入量は約48万トンを記録し、2020年の同期間(35万2678トン)、2021年の同期間(43万1231トン)に比べ、年々増加している。

韓国経済新聞は「日本産熱延製品が中国産より安い価格で大量に輸入されている」とし、「日本鉄鋼企業が不振な内需実績を埋めるために韓国市場で《低価格攻勢》を繰り広げているという指摘が出ている」と指摘。

その上で「国内鉄鋼業界はこのような状況が続くと政府にダンピング調査を要請する方針だ」と伝えている。

このような声は以前から出ており、韓国鉄鋼新聞は昨年8月23日、『日本の低価格輸入材の国内流入増加に鉄鋼市場の攪乱懸念』というタイトル記事を掲載し、日本の鉄鋼企業が日本国内の内需不振を挽回するために低価格の輸出を行っていると指摘していた。(当該記事URL:https://www.snmnews.com/news/articleView.html?idxno=502945)

同紙は「一例として最近、日本産熱間圧延鋼板(HR)の場合、中国産よりもトン当たり20~30ドル低い価格(FOB基準590~600ドル)で9月積成約が進められている」と伝えていた。

同紙は鉄鋼業界関係者の話として、日本産の低価格輸入材の流入が拡大するに伴い、韓国の鉄鋼各社は逆に日本への輸出拡大を検討しており、「こうした問題は今後両国間の通商問題に広がる恐れがある」と伝えている。

近年の世界経済の大きな変化のなかで、日韓間でねじれた貿易構造が出現する可能性がある。

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