【一問一答】スポーツ庁・室伏広治長官「民間企業も関心を」

部活動の地域移行を通じた改革の必要性について話す室伏スポーツ庁長官=長与町民文化ホール

 スポーツ庁の室伏広治長官は長与町での講演後、囲み取材に応じ、国として部活の地域移行を推し進めていく考えを改めて強調した。一問一答は次の通り。

 -地域移行は必要なのか。
 全国的に学校の数が減ってきて、少子化も待ったなし。今は大丈夫でもこれまで通りの部活を継続していくことが将来、困難になる。まだそこまで深刻じゃないと思っている人が全国にたくさんいると思うが、いずれ大変な状況になる。全国一律に一気に進めていくのが大事だと考えている。長与町は全国に誇れる事例。

 -長崎県内でも長与町以外は移行が進んでいない。
 学校にある部活をそのまま移行するのではなく、地域にある資源を最大限に利用して、スポーツだけじゃなくさまざまな体を使う文化的なプログラムなども作り、それを子どもから高齢者まで利用できるようなコンテンツが理想。各市町はまちづくりという観点で、部活動にとどめず推進していただきたい。

 -慎重派の話を聞くと、教育の色合いや師弟関係が薄れてしまうことに対するアレルギーが根強い。
 そんなことも言ってられなくなる。子どもも学校も減っていく現状がある。人ごとと思わず真剣に、今こそまち全体でどう人を育てていくかを考えるべき。先生方も知見が広い。狭い学校の中だけでなく社会に出て貢献してもらいたい。部活にフォーカスするのではなく、次元を超えてもらわないと。これができるのは首長、教育長、トップだと思う。

 -当初「2025年度末」としていた地域移行の達成目標を昨年末に撤廃した意図は。
 今後3年を強化して進めていくことに何ら変わりはない。そこははっきりと申し上げる。トーンダウンなどはまったくない。

 -休日に教わるために新たな費用負担が発生する。こぼれ落ちる生徒がいないように、セーフティーネットが必要。
 国として予算を獲得しているし、さまざまな財源で生活困窮者などの不平等がないように取り組んでいく。行政も動いているが、民間企業もぜひ関心を持っていただいて、CSR(企業の社会的責任)事業として、将来の日本のためになるということで連携してほしい。


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