【新型コロナ】弱者の存在、忘れないで 「5類」移行で横浜労災病院副院長 緩和ムードに警鐘

入院中のコロナ患者をケアする医療従事者=2022年1月、横浜労災病院

 「率直に言うと、心配しています」─。政府が新型コロナウイルスの感染症法上の分類を今春、季節性インフルエンザと同等の「5類」に引き下げると表明した20日の夜、横浜労災病院(横浜市港北区)の平沢晃副院長(62)は懸念を口にした。3年にわたる厳格なコロナ対策からの転換を前に、緩和ムードが広がりかねないと指摘。ハイリスクな高齢者らの存在を忘れてはならないと警鐘を鳴らす。

 「コロナの感染力はインフルより強く、今後新たな変異株もあるかもしれない。若くて軽症で済む人も多いが、高齢者や疾患がある人は重症化の可能性が高い」。平沢副院長が真っ先に強調したのは、5類移行後も見過ごせないコロナウイルスの危険性だ。

 移行後は感染者(7日)や濃厚接触者(5日)の待機期間がなくなり、医療費の公費負担縮小による受診控えやマスク着用の緩和も想定される。これらに伴い感染者が増えれば、「高齢者や疾患がある人が命を落とすことにもつながりかねない」と指摘する。

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