「九文に勝つ」こじ開けた重い扉 純心女55年ぶりV 男子は大村工 長崎県高校新人大会・バレー

【バレーボール女子決勝、九州文化学園-純心女】第2セット、純心女のMB橋田がスパイクを放つ=諫早市中央体育館

 半世紀以上、閉ざされてきた重い扉をこじ開けた。バレーボール女子で55年ぶりにV奪回を果たした純心女。チームを率いて22年目の田浦監督は「コート内外でいろいろまねして、一番お世話になってきた監督が(九州文化学園の)井上先生。九文に勝ちたいと思ってずっとやってきた」と感慨深げに振り返った。
 決勝はその九文にストレート勝ち。第1セットは一進一退からMB橋田のブロックアウトやOH中嶋、原口の強打などで徐々に点差を広げると、第2セットは序盤5-9の劣勢を粘り強くはね返した。ほぼ全員が身長170センチに満たない小柄な少女たちが、何度も懸命に拾って、つないだ。
 橋田、中嶋、原口、セッター木下ら中学時代の県選抜選手を擁し、昨季とほぼ変わらない布陣。その優位性に加えて“今年こそ”という闘志を前面に出して挑んだ。田浦監督は「まぐれで九文には勝てない。それは今まで嫌というほど思い知らされてきた。よくやった。コロナ禍でも腐らず頑張った3年生の力も大きかった」とうなずいた。
 今季最初の県タイトルはあくまでもスタートにすぎないが、これまでにない大きなきっかけを手にしたチーム。主将の中嶋は「これからは追われる立場。ずっと優勝できるように練習からもっと気持ちを出していく」、橋田は「相手もさらにやってくる。この結果に満足せずに上を目指す」。こじ開けた扉の先に今度は新たな歴史のページを刻みにいく。

◎大村工 歴代トップ級の陣容

 バレーボール男子は大村工がV2を達成。主力の故障欠場もある中、選手層の厚さ、高さ、速さで頭一つ抜けた力を示した。主将のOH土井は「春高(全日本高校選手権)出場で他のチームより始動が遅れた中で優勝できたことはホッとしている」と安堵した。

【バレーボール男子決勝、大村工―長崎南山】第1セット、大村工のMB安元が速攻を決めて19点目=諫早市中央体育館

 U18日本代表の土井を筆頭に、関係者から歴代トップレベルの陣容とも評されている今季。セッター富永が「いろんな特長があるスパイカーをどう生かすか」と考えながら、多彩なコンビバレーを演出した。土井だけに頼らず、浅田と安元のMB陣の速攻、OP船戸、OH中川の強打も有効に決まった。
 一方、ミスから点差を詰められるなど、随所で発展途上なプレーもあった。土井は特にサーブレシーブやブロックを課題に挙げて「まだチームとして全然できていない。今年は本当に日本一を狙っていく。そのためにも、まずは次の九州で絶対に優勝」と気合を入れ直していた。


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