養殖ノリ収穫本格化 色づき上々 玉野・胸上漁協 潜り船で刈り取り

網の下に入ってノリを刈り取る「潜り船」

 岡山県内最大の養殖ノリ産地・玉野市胸上地区で収穫が本格化している。連日、漁師たちが「潜り船」と呼ばれる漁船で冬の海へと繰り出し、黒々と育ったノリの刈り取り作業に追われている。

 胸上漁協では、同漁協海苔(のり)研究会に所属する19人が沖合にノリ網(長さ約22メートル、幅約2メートル)約5400枚を設置する「浮き流し」という方式で養殖。昨年12月初旬に始まった収穫作業では、漁師が海面に張った網の下へ漁船を巧みに潜り込ませ、船の天井部に付けられたカッターでノリを刈り取っていく。

 収穫したノリは、港にある加工場に水揚げされ、乾燥やごみの除去などの工程を経て、板ノリとして出荷される。ノリは5~6日で成長するため、一度収穫した網からでも再び刈り取ることができる。

 同漁協によると、収穫量はチヌによる食害などで昨シーズンより減っているが、色づきは上々。需要に対し供給量が少なく、価格は上昇傾向という。

 同研究会長の國屋一吉さん(60)=玉野市=は「ノリの品質を保てるように、海水中の窒素やリンといった栄養塩が増えるように適度に雨が降ってほしい」と話している。

 収穫は例年、2月以降にピークを迎え、3月末まで続くという。

「潜り船」の天井部にあるカッターで刈り取られるノリ
港にある加工場で形を整え乾燥される板ノリ

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