大分トリニータ キャンプレポート チームビルディングに手応え 【大分県】

大分トリニータは20日から鹿児島キャンプに入り、順調に日程を消化している。下平隆宏監督はチームづくりの進み具合についてこう話した。「今季は選手と一緒にチームをつくる『共創』をテーマに掲げているが、チームビルディングができている」。指揮官の語るチームビルディングとは、選手個々の技術や能力、経験を最大限に発揮して目標のJ1昇格を達成できるチームを作り上げていく取り組みで、今回のキャンプではチームのコミュニケーションを円滑にし、選手の役割を明確にすることに注力している。

最強寒波によりピッチが雪で白くなった24日、徳島とのトレーニングマッチに臨み、下平監督は「悪条件のなか集中力を切らさず、チームがバラバラにならずに戦えた。ピッチで起きた問題を選手が試行錯誤して問題解決をしていた」と評価した。

試合は45分×3回という変則的なものであったが、新加入のDF安藤智哉、今季プロ1年目となるMF保田堅心が2得点を決めて3-3の引き分け。1本目の早い時間帯で失点し、浮足立ったがGK高木駿が最後尾から守備の指示を出し続け、終盤の底でコンビを組んだMF弓場将輝とMF野嶽惇也が前線の選手を動かし、バランスを取ることで試合に落ち着きを取り戻すことができた。

大雪のトレーニングマッチとなった

今季の大分の真骨頂はまさにそこにある。試合で起こり得ることを想定して試合に臨んでも、相手のシステムやメンバー変更、今回のように悪天候など予測不能な事態が起きるとプランは崩れる。そのときに選手がピッチ内で話し、アイデアを共有することによって、自分たちの考えで試合を進めるようになっている。1回目に出場したFW長沢駿は「試合の入り方が悪くて失点したが、その後は自分たちで試合をコントロールできた」と充実感をにじませた。

一方、課題は両ゴール前の攻防だ。「守備は甘さがあった。簡単な失点が多い。攻撃は簡単なシュートを決めきれない」と下平監督は語っているが、昨季と同じ、パスミスからカウンターを受け、ボール保持者に対して寄せが甘く失点するパターンを繰り返している。攻撃においては、相手のペナルティエリア付近までボールを運べているが、最後のパス、シュートの精度を欠き、枠内のシュート率の低さが目立つ。チームが始動してから約3週間が経過し、両ゴール前の意識づけを徹底するまで、もうしばらく時間と辛抱が必要だが、そろそろ次のステップに進みたいところだ。

今季はピッチ内での修正力が必要となる

(柚野真也)

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