自宅まで9時間超、車中泊…「大変な一日だった」 立ち往生に遭った男性の帰路 長崎・大村

積雪で立ち往生し、放置された車両=25日午前8時10分、長崎市赤迫3丁目(画像は一部加工)

 「いつ家に帰れるのか」。路面凍結などによる車の立ち往生に巻き込まれた長崎県大村市宮小路1丁目の鴨川拳さん(29)は24日、長崎市宿町の職場から通常1時間程度の帰路を車で9時間以上かけて自宅に戻った。
 鴨川さんは午後5時過ぎに職場を出発。しばらく進むと諫早市飯盛町を通る道路には車列ができていた。「立ち往生パターンか」。マクドナルド諫早インター店周辺を通過した時にはすでに午後9時半を回っていた。いつ解消するかも分からず不安だけが募った。
 鈴田峠を越えるルートは24日夕以降、全面通行止めだったため三浦半島経由で帰ろうとしたが、こちらも通行止め。食料を調達しようとスーパーに立ち寄ると、駐車場はほぼ満車で、中には車中泊しようとしている人もいた。帰り道をふさがれ、仕方なく鈴田峠方面へ。道中、乗り捨てられた車が道端に並び、JR諫早駅周辺のコインパーキングも満車。あきらめて諫早市内の公園の駐車場で車中泊した。
 鴨川さんの車は冬用タイヤを装着。給油したばかりでガソリンも満タンだったが、それでも立ち往生を抜け出すすべはなかった。「車中泊は十分に眠れず数時間で起きた。大変な一日だった」と振り返った。
 一方、車を放置して徒歩で帰宅した人も少なくなかった。車両の「乗り捨て」は事故につながりかねず危険だが、緊急避難的にやむを得ず放置する場合、日本自動車連盟(JAF)長崎支部は「可能な限り路肩に寄せ、三角停止板を車後方に置いた方がいい」としている。


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