“国境の島”地理を生かす 地域再生大賞で「対馬CAPPA」準大賞 漂着ごみ解決へ輪を広げたい

「対馬CAPPA」が高校生と実施した海岸清掃。ごみの種類ごとにポイントを設定し、楽しみながら取り組んだ=2022年5月、対馬市

 長崎新聞社など全国の地方新聞と共同通信が地域活性化の取り組みを表彰する第13回地域再生大賞で、対馬市の一般社団法人「対馬CAPPA」が、準大賞に選ばれた。上野芳喜代表理事(66)は「国境の島が注目を浴びるきっかけをつくることができ、うれしい」と喜びを語った。
 海に捨てられたごみが海流に乗って沿岸に大量に押し寄せ、社会問題となっている対馬市。その解決策を探ろうと、同法人は2013年に任意団体「美しい対馬の海ネットワーク」として発足した。17年に法人化し、現在の名称になった。
 市の委託を受け、漂着ごみの年間漂着量や種類、発生場所を調査、研究。結果はホームページ(HP)などで発信している。島内外の企業や団体、高校生などと積極的に海へ出向き、環境スタディーツアーの実施や、海ごみ回収に注力。交流人口拡大や「住民参加型」で環境問題を考える機運醸成につなげている。
 “国境の島”の地理を生かし、韓国の民間団体や大学などにも漂着ごみ問題解決を働きかけるなど、「草の根交流」も促進。海ごみ対策をボランティアにとどまらせず、収益化して持続可能な取り組みにしてきたことも評価された。
 上野代表理事は「ごみ問題というネガティブなことも、取り組み次第で好転できる。漂着ごみ問題は道半ばなので、今後も解決に向けた輪を広げていきたい」と話した。

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