九州ジュニアテニスで飛び級優勝 山髙心慎さん(中里中2年) 家族と地元で強くなる

テニス一家で伸び伸びと成長している山髙心慎(中央)=長崎市総合運動公園かきどまり庭球場

 1月上旬に長崎県佐世保市で行われた九州ジュニアテニスサーキット・マスターズ大会に、中学2年ながら18歳以下の部に飛び級出場。高校生を次々に倒して九州チャンピオンの座を勝ち取った。新春の好スタートを切った山髙心慎(みのり)(14)は「すごく自信になった」とあどけない顔をほころばせた。
 県内でも有名なテニス一家の長女として生まれた。父の直史さん(43)は九州文化学園高の全盛期に監督を務め、現在は長崎国際大の指導者。直史さんと柳川高(福岡)で同級生だった母の美沙さん(43)は、祖父の秀人さん(73)とともにテニスクラブ「佐世保LTC」を運営している。心慎、妹の心豊(みひろ)(11)、弟の眞玄(みはる)(7)の3姉弟もここで指導を受けて才能の片りんを見せている。
 物心ついたときから、遊び場所は決まってテニスコート。父や母の教え子たちに交じって無邪気にラケットを振り回していた少女が、小学4年で競技を始めたのは自然な流れだった。順調に成長し、昨年は九州中学大会を制して全国中学大会に出場。身長150センチと小柄ながら、気迫あふれる攻撃的なプレースタイルを上位大会でも貫けるのが強みだ。
 とはいえ、まだ中学生。練習に身が入らない日があれば、テニス以外の部分を両親にしかられてへそを曲げる日もある。「好きなことを思い切りやらせつつ、謙虚な心を保つように気を付けている」と父の直史さん。平日の練習は2時間程度にとどめ、休日は大学の練習に連れて行くなど、親、指導者としての顔を使い分けながら向上心を育んでいる。
 だからこそ、なのかもしれない。将来有望な選手は高校入学を機に全国の強豪校に越境入学する例が少なくない中、自身は「1年後に中学を卒業した後も、地元の高校で父や母に教わりながら頑張りたいと決めている」ときっぱり。「厳しいけれど、とても信頼している」という両親と一緒に強くなりたいという思いが強い。
 新年の目標は堅実に「日本のベスト8」を掲げた。今年からは国体に出場できる年齢になり、県代表としての活躍も期待される。「自分や支えてくれる人のために頑張っていくことが将来、長崎のためにつながればうれしい」。伸び伸びとテニスに打ち込める環境で、地に足をつけて成長していく。


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