福井県の三国湊に町家ホテル10棟と本格レストラン NTT西日本など観光新会社「アクティベースふくい」

「アクティベースふくい」の発表会見で、登壇したNTT西日本の森林正彰社長(前列左から4人目)はじめ共同設立者ら=2月3日、福井県国際交流会館
「かぐら建て」を改修して生まれ変わる町家レストランのイメージ(アクティベースふくい提供)

 NTT西日本、福井新聞社など民間11社が、福井県坂井市三国湊エリアの歴史文化を生かした観光まちづくり事業を推進する新会社「Actibaseふくい(アクティベースふくい)」を共同で設立し2月3日、事業内容を発表した。伝統的家屋「かぐら建て」をリノベーションする「町家ホテル」10棟とレストラン1棟を整備し、世界的なフレンチシェフの料理を提供する。北陸新幹線県内延伸を見据え、誘客拡大とエリア内消費を促し、持続的な地域活性化につなげる。

 NTT西が会社組織を立ち上げ、観光まちづくり事業を展開するのは管内30府県で初めてで、三国湊は実証フィールドになる。

 三国湊は北前船の寄港地として栄え、三国祭など歴史・文化的価値の高い観光資源がある。皇室献上の越前がになど豊富な海の幸も楽しめ、インバウンド(訪日外国人客)を含めた誘客が期待できる。一方で人口減少や空き家増加といった課題も表面化している。新会社は観光情報発信や誘客・周遊支援など情報通信技術(ICT)を活用したまちづくりに参画し、地元と連携した地域課題の解決にも取り組む。

 宿泊事業は空き家をリノベーションし、町家ホテル10棟18部屋を整備。2024年1月開業を目指す。県産食材を活用するレストラン事業は、パリと東京の店で格付け本「ミシュランガイド」の一つ星を獲得した世界的フレンチシェフ、吉野建(よしの・たてる)さんを迎える。街明かりや緑化など景観統一を図る町並み整備、歴史文化を生かしたアクティビティー事業も展開する。総事業費は12億円規模になる見通し。

 福井県国際交流会館(福井市)で11社の代表らが記者会見し、NTT西の森林正彰社長、新会社の樋口佳久社長が事業内容を説明した。森林社長は「三国には観光客を引きつける魅力がある」と強調。三国湊をプロジェクトの地に選んだ理由を、東尋坊や大本山永平寺に周遊できる立地、北陸新幹線県内開業に伴う観光客増加への期待、地元の地域活性化への強い思い―などを挙げ「観光を起点に持続的、自立的な地域循環モデルを創出したい」と語った。

 新会社(坂井市三国町北本町4丁目)は22年10月に設立。出資金は11社合計9億9千万円でNTT西が62%を出資する。

 会見後、11社の代表らは福井県庁を訪れ、杉本達治知事に事業概要を説明した。

 【出資企業】NTT西日本、NTTアーバンソリューションズ、熊谷組、住友林業、福井銀行、福井信用金庫、セーレン、福井新聞社、福井放送、フクビ化学工業、北陸電力

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