和牛甲子園で“A5ランク” 諫早農高「息吹」が獲得 餌に酒かす 食い付き向上

愛情こめて飼育を担当した生徒たちと「息吹」=諫早市、諫早農業高寺峰牧場(同校提供)

 1月19、20の両日、東京都で開かれた全国農業協同組合連合会(JA全農)主催の「和牛甲子園」で、本県代表として出場した諫早市立石町の県立諫早農業高(坂口浩校長、791人)の肉用牛「息吹」が、最上級肉質A5ランクを獲得した。
 畜産業の後継者や担い手の育成につなげようと開かれ6回目。「高校牛児」たちがこれまでの飼育の取り組みを発表して枝肉の肉質を競う。同校は3回目の出場でA5ランクの獲得は初めて。全国から40校56頭が出品され、約20頭がA5ランクに評価された。
 同校動物科学科3年の藤田理さん(18)、上野優羽さん(17)、木下愛海さん(18)、吉﨑蒼太さん(18)の4人は、息吹を2021年4月から飼育した。同市の酒造会社「杵の川」に協力してもらい、酒かすを餌に混ぜたところ、食い付きが抜群に向上したという。息吹が足をけがしたときは、生徒たちが薬を塗るなどして手当てし、殺処分の危機を乗り越えた。和牛甲子園を前に、息吹を出荷する日の朝。4人は息吹が涙を流していることに気付き、胸が詰まったという。
 藤田さんは「まさかの最高評価に驚いたが、支えてくれた先生をはじめ皆さんにやっと恩返しができたようでうれしい。2年間、毎日のように会っていたので、息吹は友だちであり仲間だった。命を無駄にせず、おいしく食べてほしい」と話した。
 今回、A5ランクを獲得した精肉は7日午前10時から、同市の「まるたか生鮮市場」の小野店、幸町店、アエル店、多良見店の4店舗で限定販売する。


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