「和楽器の魅力、世界に」 グラミー賞受賞作に箏で参加 佐世保出身・丸田美紀さん

箏の演奏家、丸田美紀さん(本人提供)

 米音楽界最高の栄誉となる第65回グラミー賞の最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞に輝いた作編曲家、宅見将典さんのアルバム「SAKURA」に、長崎県佐世保市出身の箏(そう)の演奏家、丸田美紀さん=東京在住=が参加している。優美な音楽世界を演出し「一緒に演奏させていただいただけで最高の気分。夢のようです」と喜びを語る。
 丸田さんは市立日野小1年生時から、同市で「菊の会」を主宰する菊雅楽(きくうた)孝子さんに師事。市立相浦中、県立佐世保北高から群馬県の高崎短期大に進学。音楽科器楽専攻(箏曲)を首席で卒業し、特待生として専攻科で学んだ。
 1990年から2年間、米国ウエスレアン大で客員演奏家として箏曲などを指導。その後、東京を拠点に国内外の演奏会などで活躍している。幅広いジャンルのアーティストとも共演し、2021年から東京芸術大の邦楽科現代箏曲の非常勤講師を務め、本県でも演奏、指導活動を続けている。
 宅見さんとは10年ほど前、あるバンドのスタジオ録音で出会い、宅見さんが19年に発表した前作のアルバムにも参加。「SAKURA」には表題曲を含め4曲で演奏している。宅見さんはアルバムに「心の中にある美しい花を咲かせてほしい」という思いを込め、箏や三味線、アフリカの楽器を取り入れた“和”から広がる独自のグローバルな世界を表現している。
 レコーディングのときは「日本人の心にある桜のイメージ。箏に合う耳に残る旋律があって、その個性を楽曲に生かせるように弾いた」と丸田さん。メロディーとコードで日本の伝統楽器の音色をドラマチックに響かせている。
 菊雅楽さんは教え子の活躍に「箏曲が現代的に発展する中、第一線で魅力を広げている。みんなの励みになる」と話している。
 作品は動画でも配信されており、丸田さんは「栄えある受賞で和楽器の魅力を世界に発信できてうれしい。佐世保や日本、世界の人に作品を聞いてほしい」と思いを語る。


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