郷土愛を込め 行進で祝う 平和教育、在り方考え集会 「建国記念の日」長崎県内各地で行事

日の丸の小旗を手にアーケードを行進する参加者=佐世保市島瀬町

 「建国記念の日」の11日、長崎県内各地で奉祝行事が開かれ、国の誕生を祝福した。一方、戦争の歴史を顧み、被爆者と平和教育を考える集会もあった。
 長崎市では「長崎日の丸会」が、新型コロナウイルス感染症の影響で中止していた奉祝大会を3年ぶりに開催。反田邦彦会長は「日本の誕生日をお祝いするこの日、(戦後)日本の主権が回復したことへの意識を改めて思い起こしたい」などとあいさつした。
 大会宣言では、ロシアによるウクライナ侵攻や大規模災害発生の恐れに触れ、国民を守る防衛策の強化などを訴え、建国の精神を次世代に継承するため政府主催の奉祝行事の実施を要望。来場者の拍手で採択した。
 佐世保市では国旗を手に地域を歩く「日の丸大行進」を3年ぶりに実施。「市建国記念の日奉祝会」の呼びかけで、市中心部や早岐、相浦、世知原の4地区で計約2600人(主催者発表)が参加した。
 市中心部では政治や経済、自衛隊関係者らが参列し、日の丸の小旗を振ってアーケードを練り歩いた。梯正和会長代行は「古里を愛し、世界の恒久平和を願う気持ちを込めて歩いている」と話した。
 東彼川棚町では「町建国記念の日奉祝会」が式典やパレードを主催し、約80人が出席。琴尾俊昭会長は「遺族会をはじめ、参加者は高齢化している。行事の新たな形態も模索したい」と述べた。

平和教育などについて講演する山川さん(左)ら=長崎市桜町、県勤労福祉会館

 一方、県教職員組合長西総支部は長崎市で被爆者の山川剛さん(86)らを招き、平和教育の在り方を考える集会を開いた。山川さんは被爆体験の講話について「せいぜい1時間で短く、被害しか語れない。少なくとも2回は同じ被爆者を呼んで聞いた方が議論が深まる」と指摘した。
 集会には約30人が参加。政府の防衛費増額方針に反対し、「国民生活が圧迫される。今の社会は右傾化している」と危ぐする意見も出た。

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