泣く女性客…慌てて店に飛び込み、店員らが詐欺阻止していた じつは連日阻止「当然のことをしたまで」

正木浩署長(後列左)から感謝状を受け取った、前列左から菊地詩恵さん、田口知子さん、鈴木葵さんとさいたま農業協同組合七里支店の小野佳代子支店長(後列中央左)、同片柳支店の昼間吉暁支店長(後列中央右)=大宮東署

 特殊詐欺被害を未然に防いだとして、埼玉県警大宮東署は、JA七里支店の菊地詩恵さん(46)、田口知子さん(42)、同片柳支店の鈴木葵さん(24)と両店舗に感謝状を贈呈した。

 同署などによると、七里支店では1月16日午後1時ごろ、来店した見沼区の80代男性が窓口で「身内に不幸があった」と200万円の引き出しを要求。特殊詐欺の被害に遭っていないか確認するチェックシートを用いて詳しく話を聞いたところ、「孫から現金を用意してほしいと言われた」と話し、特殊詐欺を疑い通報した。菊地さんと田口さんは連携して対応し、200万円の詐欺被害を防いだ。

 片柳支店では翌日午後0時ごろ、同区の80代女性が「次男から現金が必要と言われた」と慌てた様子で来店。「落ち着かせることを意識した」と鈴木さんは、同店職員と連携して対応し、特殊詐欺と判断して通報した。女性は300万円を引き出しに来店したという。

 感謝状を受け取った菊地さんと田口さんは「お客さまの大事なお金を守れて良かった」と口をそろえる。七里支店の小野佳代子支店長(49)は「金融機関として当たり前のことをしたまで。地元警察の役に立てて良かった」と笑顔を見せた。

 鈴木さんは「緊張したが、女性から涙ながらにお礼も言ってもらえた。今後につながる経験になった」。片柳支店の昼間吉暁支店長(54)は「感謝状をもらって身が引き締まる思い。今後もしっかり対応したい」と話していた。

 同署の正木浩署長は「JAとしての特殊詐欺対策が結果に結びついたと思う」と功労者をたたえた。

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