大磯町が初設置の認定こども園 民営か直営か、池田新町長の決断いかに 方針転換も議会は反発、夜までもつれ

認定こども園への移行で揺れる大磯町立大磯幼稚園=同町大磯

 大磯町が町立大磯幼稚園を改廃して初めて設置する認定こども園を巡り、揺れている。これまで町は民営化による開園を目指して事業者選定などを行ってきたが、昨年12月に就任した池田東一郎町長が町直営での運営方針を打ち出して事態は一転。ところが、町議会は今月13日に開いた3月定例会本会議で民営化を支持し、議論は振り出しに戻った。「民営化」か「町直営」か-。すでに同幼稚園の閉園時期は決まっており、町長の決断が注目される。

 同幼稚園は待機児童の増加や幼稚園ニーズの減少に施設の老朽化が重なったことで、町の意向も反映できる「公私連携」の民営化による認定こども園への移行が2020年度末に決まった。町は昨年6月に条例を改正して同幼稚園の24年3月末の閉園を決定。昨年9月にはプロポーザル方式で事業者を選定し、24年4月の開園に向けて新園舎の設計に入っていた。

 事態が変わったのは昨年11月の町長選直後。初当選した池田町長が「選挙中、民営に不安な多くの保護者から町直営の存続を要望された」として、町直営での開設を表明した。保護者の不安に加え、障害のある子どもの「最後のよりどころ」として町直営にしたいとの思いが強かったという。

 この方針転換を受け、町職員は事業を一から見直すことになり、時間の制約も踏まえて園舎を建て替えから改修に変更。町議会3月定例会に提出した22年度一般会計補正予算案に改修のための設計委託費約2500万円を計上した。

 一方、町議会側からは「説明もなく議会軽視」「すごい(計画が)走りすぎている。弊害が気になる」などと反発や不安の声が上がり、13日に開かれた本会議は夜までもつれ込んだ。

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