「災害時、世の中の役に立ちたい」“停電してもつく電球”“電動アシスト自転車でスマホ充電”…最新技術をキャスターが体験【わたしの防災】

防災や減災に役立つ最新技術の展示会が先日、神奈川県横浜市で開かれ、私、井手が体験してきました。命や生活を守るため、災害対策の商品は日々進化しています。

<井手春希キャスター>

「本当に開かないですよ」

この玄関ドアは、地震の揺れでゆがみ開かなくなってしまった状況を木の杭を入れて再現したものです。

1995年の阪神・淡路大震災のように、直下型の地震は建物に強い衝撃を与えます。この写真は地震の衝撃を受けた玄関ドアです。上下がつぶれて開かず、避難ができなくなりました。

<新日本エントランス 浦山久志社長>

「この扉は直下型地震が起きても避難ができる扉」

その秘密は扉のつくりにあります。よく見ると中にもう一つ扉がありますね。

<井手春希キャスター>

「あっ、簡単に開きましたよ。大人一人も十分に出られるスペースですね」

これはありそうでなかった発想ですね。上下の壁からの衝撃で扉のこの部分が潰れます。しかし、中の扉はつぶれず、逃げることができます。中の扉にも鍵がついているので、空き巣被害を心配せずに安心して避難ができます。

この玄関ドアが紹介されていたのは、2月はじめに神奈川県で開催された震災対策技術展です。過去の震災を教訓に開発された防災・減災に役立つ最新の技術や製品が一堂に会しました。

災害時にはライフラインも大きな影響を受けます。5年前に起きた北海道胆振東部地震では、約295万戸が停電するブラックアウトが発生しました。急な夜間の停電に役立つのが、この電球です。

<井手春希キャスター>

「今は通常の明かりがついています。ブレーカーを落とすと」

さあ、どうなると思いますか?電気が通らないので消えますよね?一瞬消えて、すぐに電気がつきました。

<井手春希キャスター>

「つまり、災害時に停電しても、消えない電球なんです」

この電球にはバッテリーが内蔵されていて、停電時にも最大6時間点灯し続けます。

2022年、首都圏で大規模な停電が発生したときのマンションの写真です。明かりがともっていた一部屋は、この電球を使っていました。電球を取り外して使うこともできます。電球の下の部分を手で触ると、電気が流れ明るく光る仕組みです。

<エコミナミ 元澤和希さん>

「探し物をしたり、避難所に懐中電灯の代わりとして、持って逃げてもらうことができる」

今回の展示会には、静岡の企業も出展しました。家庭に普及している電動アシスト自転車も停電時に役立ちます。

<井手春希キャスター>

「電動アシスト自転車のバッテリーを、このUSBアダプターに差し込むと、スマートフォンなどを充電することができます」

このUSBアダプターは電動アシスト自転車のバッテリーを使って、最大でスマートフォン20台をフルに充電できます。開発したのは、電動アシスト自転車の部品を製造している森町の企業です。

<ヤマハ モーター エレクトロニクス 平岩松男さん>

「近年の防災意識の高まり、地域貢献を重点に企画開発した。災害時に避難所などに展開されていくと避難している皆様の安心にもつながると思う」

もう一つ、災害時に大切なのが「食べ物」。避難生活でも温かいものが食べたいですよね。そのための商品です。

<山本商事 山本潤一社長>

「発熱材と水が反応して生まれた熱で、食品の温めと湯沸かしが出来るバック。水だけでいいんですね」

使い方は簡単。袋に食品を入れたあと、袋の中の発熱材に水をかけます。あとは封をして、15分ほど待つだけ。高温の蒸気で、食品を温めることができます。

<井手春希キャスター>

「ちょっと持つのが熱いくらい。ちょっとアチアチってなるくらい、しっかり温まっている。本当に水だけで温まったの?」

<山本商事 山本潤一社長>

「(以前の災害時に)寒い中震えながら、冷たいご飯を食べたという声が多かった。温かい食事はどなたにとってもプラスになることは間違いないので、こういった商品で世の中の役に立ちたいと思っている」

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