日米人形交流95周年記念シンポ 「エレン・C」「リトル・メリー」県内現存の2体展示

県内に現存する2体の「青い目の人形」も展示した「日米人形交流95周年記念シンポ」=長崎市平野町、長崎原爆資料館ホール

 1927年に米国から日本へ約1万2700体の「青い目の人形」が贈られた日米人形交流の95周年を記念したシンポジウム「平和・未来への伝言~ナガサキから~」が11日、長崎市内であった。当時日米であった歓迎セレモニーなどを撮影した貴重な記録映像も上映。人形から広がった交流の歴史などを振り返り、被爆地長崎から平和を発信し続けることを誓った。
 日米人形交流は1920年代、悪化していた日米関係の改善を目指し米の親日家ギューリック博士と日本の実業家、渋沢栄一氏が計画。映像は2016年に米国で見つかった記録映画のダイジェスト版(約10分)で、渋沢史料館(東京)が所蔵しており国内では2回目の上映となった。
 人形が日本に到着した時の様子や両氏の姿も映像の中に登場。日米人形交流の研究者で同市平和特派員の宮崎広和・米ノースウエスタン大教授の解説を聞きながら、集まった約100人が映像に見入った。
 続くシンポには市民団体「長崎親善人形の会(瓊子(たまこ)の会)」の山下昭子会長や宮崎教授ら4人が登壇し、壇上には米国から贈られ県内に2体だけ現存する平戸市の「エレン・C」と島原市の「リトル・メリー」を展示。山下会長は「戦争が勃発し、日本に贈られた人形は焼かれたり捨てられたりして全国で約300体しか残っていない。今後も被爆地長崎から世界に向けて、平和の大切さを発信し続けたい」と述べた。
 同会は本県から米国に贈られた答礼人形「長崎瓊子」の里帰り展(2003年)を機に発足。20周年の記念も兼ねシンポを開いた。


© 株式会社長崎新聞社