重要性増すデジタル教育 生活と重ね考える 益子小3年生DC学ぶ

日常生活とインターネット空間を比べて考える児童=2月3日午後、益子小

 栃木県内全域の児童生徒に一人1台の学習用端末が配備されて間もなく2年。多くの子どもたちにとって、デジタル機器の活用とインターネットを使った情報の取得は日常になった。こうした中、デジタル社会を生きる力を育む「デジタルシティズンシップ(DC)教育」が重要性を増している。

 「生活でもインターネット上でも、相手と仲良くするのはどうしたらいいでしょうか」。益子小3年1組(17人)で2月、学校生活とネット上での悪口や仲たがいを題材に、DCを学ぶ授業が行われた。

 児童たちはインターネットに対し「世界とつながれる」「便利で楽しい」「危険」という意見を出した。その後、インターネット上で怒った顔のスタンプだけを送り合い、けんかした子どもの動画を視聴した。

 なぜけんかが起きたのか-。学校生活と動画上のトラブルを比較しながら児童たちは話し合った。「スタンプだけだと気持ちが伝わらないね。文字を書いた方がよかった」、「会って話をするときは、相手の目を見たほうが気持ちが分かる」などの意見が出た。解決策をそれぞれ考え、「生活でもインターネットでも相手の気持ちを優しく最後まで聞くようにしたい」と提案した児童もいた。

 担任の菅谷雄一(すがやゆういち)教諭は「3年生はオンライン通信の世界に踏み出す時期」と位置付ける。「ネットと生活を関連付けて考えることで、相手の気持ちを考えて行動することの大切さを分かってほしい」と話す。

 同校は、文部科学省の人権教育研究校。インターネットを介した犯罪や人権侵害が深刻になる中、研究テーマの一つにDC教育を取り入れた。今後充実させていく予定で、DCを研究する小森大樹(こもりだいじゅ)教諭は「1年生から6年生まで発達段階に応じた内容にしていきたい」と話している。

 【ズーム】デジタルシティズンシップ教育 インターネットの使用を制限するよりも、子どもたちがデジタル世界の仕組みを理解した上で、責任を持って上手に使う能力を育む教育。情報通信技術(ICT)が生活に浸透する中、注目が集まっている。先進地の大阪府吹田市は全小中学校で実施し、市民を対象にした講演会も開いている。

© 株式会社下野新聞社