広島市教委も当惑「こう大きな話になるとは思わなかった」 “はだしのゲン” 教材から削除… 撤回求める声 相次ぐ

広島市教育委員会が平和教育教材の内容を見直し、漫画「はだしのゲン」を削除することを決めたことについて、被爆者団体などから方針撤回などを求める声が相次いでいます。

22日は経緯の説明などを求めて、県被団協が申し入れをしました。

広島市教育委員会の一室…。申し入れに訪れたのは、県被団協の 箕牧智之 理事長です。

広島市教委は現在、小学3年生の平和教育の教材に採用している「はだしのゲン」について「漫画の一部では、被爆の実相が子どもたちに伝わりにくい」などとして、新年度から使用せず、別の内容に差し替えることを決めています。

申し入れ書では「『はだしのゲン』は、中沢啓治さんの実体験に基づいた反核・反戦の強い願いと、子どもたちに伝えたいという思いにあふれたものと認識している。佐々木禎子 さんの折り鶴とともにヒロシマの象徴ともなっている」と指摘しました。

そして、「今回の削除で多くの反応があったことは、それを物語っているのではないか」としたうえで、結論に至る過程でどれだけの検討がされたのか、説明を求めています。

広島県被団協 箕牧智之 理事長
「市の平和教育方針の転換があれば、わたしたちを含めたメンバーで協議をしてもらっていればうれしかった。いきなり唐突にわたしたちも知ったようなことで」

これに対し、広島市教委は、「広島市の平和教育を変えたということではない」と話しました。一方で「現場の先生が決められた時間の中で扱いやすいものという観点で選んだ」と説明しました。

広島市教委の職員
「現場で扱いやすいもの。決められた時間の中で狙いに到達しやすい素材・教材という観点で選んでいるので、こういう大きな話になるとは思っていなかった」

広島県被団協 箕牧智之 理事長
「本当に思わなかった?」

広島市教委の職員
「はい」

広島県被団協 箕牧智之 理事長
「教育の関係者だけでことを進めようとされたと思う。もっと広く、被爆者も入れて(議論を)やってほしいと」

広島市教委は、「はだしのゲン」を図書室など学校現場から排除する意図はなく、子どもたちが触れる機会はしっかりつくりたいとしています。

「はだしのゲン」をめぐっては21日も、教職員組合や別の被爆者団体が、広島市教委に方針の撤回を要望しています。

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