「戦争のない世界を」 ウクライナ侵攻1年 長崎で集会、核抑止論脱却訴え

ウクライナでの停戦を願い、「PEACE」と書いたプラカードを掲げる参加者=長崎市、平和公園

 ロシアのウクライナ侵攻から1年となった24日、被爆地長崎でも、一刻も早い停戦や核抑止論からの脱却を訴える声が上がった。被爆者らは長崎市内で集会を開き「戦争をやめろ、核兵器をなくせ」とアピール。長崎大核兵器廃絶研究センター(RECNA=レクナ)はこの1年、世界で国家の分断と対立が深まったとして「協調的安全保障の道を探る努力」を求める見解を出した。
 集会は被爆者団体などでつくる「核兵器禁止条約の会・長崎」が呼びかけ、松山町の平和公園に約250人(主催者発表)が参加。被爆者の川野浩一共同代表(83)はあいさつで「ロシアの原発攻撃や核使用のどう喝で、地球存亡の危機に立たされている。何とか回避し、核も戦争もない平和な世界を」と力を込めた。
 2012年にウクライナを訪問した被爆者の増川雅一さん(81)は「(当時出会った)子どもたちが無事か心配。ロシアが核兵器を脅しの材料にして侵攻を正当化するのは、絶対に許せない。一刻も早く子どもたちのかわいい笑顔が戻ることを祈る」とスピーチ。ウクライナの犠牲者らに全員で黙とうをささげた後、平和を願う歌「青い空は」などを歌った。

ウクライナの子どもたちの写真やプラカードを掲げ、一刻も早い停戦を願い歌う被爆者ら=長崎市、平和公園

 レクナは見解で、侵攻と核リスク増大を受け、欧州や北東アジアなど各地で核抑止依存が一層強まり、軍拡競争で衝突リスクがかえって高まる「安全保障のジレンマ」が進んだと指摘。核保有国などには信頼構築や核リスク低減、核兵器の役割低減に向けた施策を進める責任があるとし、5月に広島で開かれる先進7カ国(G7)首脳会議を「核抑止を乗り越える創造的議論の出発点とする必要がある」と求めた。
 大石賢吾知事は同日、コメントを発表。戦争犠牲者を追悼しながら「ウクライナ情勢の一日も早い解決を望み、国際社会とも連携を図り核なき世界の実現を目指す」とした。


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