出所者の雇用どう支える? 長崎刑務所で事業主向けセミナー 九州・沖縄初

出所後の就労の場確保に向け開かれた雇用セミナー=諫早市、長崎刑務所

 受刑者らの出所後の就労の場確保に向け、雇用を検討する事業主らを対象にしたセミナーが24日、長崎県諫早市小川町の長崎刑務所であった。法務省福岡矯正管区矯正就労支援情報センター(コレワーク九州)が九州・沖縄で初めて開き、実際に出所者を雇用している企業経営者らが体験や思いを語るなどした。
 刑務所に戻った再犯者の約7割が無職との統計があり、コレワーク九州は「在所中に就労先を確保させることが重要。それが再犯防止、犯罪被害者の減少につながる」と理解を求めた。
 介護や建設、食品製造など県内の18事業所が参加。刑務作業や社会復帰に向けた矯正処遇の流れ、出所者の雇用方法、出所者を雇う事業所として登録した「協力雇用主」への国の支援制度などについて、同刑務所や関係機関がそれぞれ説明した。
 コレワーク九州に雇用支援アドバイザーとして委嘱された関係者も講師を務めた。このうち、福岡で不動産賃貸・管理業を営む中溝茂寿氏は、自身も出所後に仕事に困った経験があり、それがきっかけとなってこれまで20人以上の出所者を雇用してきたことなどを紹介。職場では積極的な声かけを大事にしているとし、「裏切られること、心配や大変さは多いが、それらをひっくり返すぐらい『やっててよかった』と思うことがある。1人でも多くの出所者を見守り、社会貢献してほしい」と述べた。
 同省によると、協力雇用主は現在、全国に約2万4千。年々、増えているが、実際に雇用している事業主は約1400にとどまっている。建設やサービス業、製造業が全体の8割を占めており、円滑な社会復帰、職場定着には幅広い業種の協力が必要という。

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