頻繁に出没するサルの群れ、無残に食い散らかして住民威嚇…まちを救え、福井県鯖江市と集落が団結

サルによる被害軽減へ福井県鯖江市と相互連携協定を結んだ河和田地区の区長ら=25日、福井県の鯖江市河和田コミュニティセンター

 人里に下りて農作物などを荒らすニホンザルの被害を食い止めるため、福井県鯖江市河和田地区の全13集落と市が2月25日、相互連携協定を締結した。集落単体ではなく、地区一体で情報を共有しながら山中へと追い払う体制を整え、サルが出没しにくい地域づくりを目指す。

 河和田地区は市内で最も東側に位置し、越前市や池田町に連なる山林に生息するサルの群れが頻繁に出没。農作物を無残に食い散らかし、住民を威嚇するなどして生活を脅かしている。

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 地区では長年、出没した集落ごとでサルを追い払ってきたが、一時的に隣の集落に逃げ込んで再び被害を及ぼすケースもあり、年々被害範囲が拡大しているという。住民の高齢化も進む中、集落間で協力して被害を食い止めるべく、市とも連携して対策強化に乗り出した。

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 河和田コミュニティセンターで開かれた締結式に、13集落の区長や住民ら約50人が出席。代表して平井喜浩区長会長と佐々木勝久市長が調印書を交わした。県の鳥獣害対策関連の補助金で購入したエアガン約30丁も披露され、区長らが市職員から扱い方を学んだ。

 平井会長は「地区の住民同士が互いに押しつけ合うことなく協力して対策に当たることができれば」と話した。

 今後は地区内でLINE(ライン)のグループを作って情報を共有し、複数の集落で連携しながらサルを追い払いたい考え。市は出没情報の提供や捕獲、追跡などの対応、専門家を招いた講習会の開催などで取り組みを支援する方針。

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