体験講話映像 18人分完成 有料でDVD貸し出しやネット配信 長崎被災協

18人分の被爆講話のダイジェスト版などを配信している長崎被災協ユーチューブアカウント

 被爆者の高齢化が進む中でも原爆の実相を伝え続けようと、長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)が、語り部グループ「被爆体験を語り継ぐ会」メンバーら18人の被爆講話映像を完成させた。有料でDVDを貸し出したりインターネット配信したりして、県内外の学校での平和教育などに活用してもらう。
 語り継ぐ会は1999年夏、語り部活動に取り組んできた被災協の被爆者が結成。長崎を訪れた修学旅行生らに被爆体験講話をしているが、近年は高齢の語り部が体調を崩したり、新型コロナ禍で対面講話が難しくなったりして、新たな継承の形を模索していた。
 撮影や編集は、自身も語り部として活動する被爆者の長野靖男さん(80)が担った。14人分の映像は昨年11~12月、被爆講話の様子を新たに撮影。残る4人は故人や体調不良のため過去の映像を使った。
 映像は1人約1時間で、利用料は1回5千円。DVDレンタルやユーチューブの「限定公開」機能を活用し、申し込みがあった学校などで視聴してもらう。他に1人10分以内のダイジェスト版も作り、2月22日から被災協のユーチューブアカウントで無料公開している。
 試写会では、映像に登場する被爆者らがダイジェスト版を視聴。このうち山川剛さん(86)は映像の活用方法として「なぜ被爆者は体験を語り継ぐのか、なぜ広島と長崎に原爆が投下されたのか、子どもたちが考え語り合うために使ってほしい」と期待を寄せた。

原爆投下後の写真や字幕なども使い、被爆講話映像を制作した長野さん(左)=長崎市岡町、長崎原爆被災者協議会

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